第225話 マスコットキャラクター
「前回のクイズの答えは『水曜日』だ!」
「お兄ちゃーん」
部屋で勉強してたら外から声がする。
水麗だ。
「入っていい?」
「どうぞ」
水麗が入ってくる。
なんか手に紙持ってる。
「これ、マスコットキャラクターだって」
マスコットキャラクター?
お祭りでやるやつ?
水麗から紙をもらってそれを見てみる。
カラーでゾンビみたいな男がプリントされてある。
でも一つ気になることがある。
これ着ぐるみ?
顔とか肌に直接メイクしてるようにしか見えない。
「お兄ちゃんならわかると思うけど、着ぐるみじゃないって」
「ええ……。まぁ、着ぐるみなんてやったことないからそれよりかはましか」
「メイクするんだって。頑張れ」
「『頑張れ』なんて言われてもな……」
「私もお兄ちゃんの手伝いするから」
手伝いってなに?
交代制?
「美月ちゃんたちにも言わなきゃ。ちょっとメールしてくる。紙ちょうだい」
「ああ、見せてくれてありがと」
俺は水麗にもらった紙を返す。
水麗は笑顔になって部屋から出た。
……それより、あれがマスコットキャラクター?
結構リアルで怖かったぞ?
多分ちっちゃい子とか泣く。
そんなものをマスコットキャラクターにしていいの?
ってか、あんなんやっても喜ぶ人いるのかな?
『そんなこと言っちゃダメ!』
おお、久しぶりに芽依出てきたな。
ちょっと嬉しい。
確かにちょっとよくない表現だったな。
喜ぶ人もいるんだ。
そんなことを思ってたらポケットに入れてあるスマホが震える。
誰かからメールが来たらしい。
確認してみると美月だった。
『康輝、ゾンビやるみたいだね』
そーなんですよ。
ゾンビなんですよ。
『意外と似合いそう』
『ゾンビに似合いそう』ってどういう意味?
『ま、頑張ってね!』
言われなくても頑張ります。
ゾンビってことはゾンビみたいな声出すのかな?
そういうのって練習したほうがいいやつ?
色々と考えたけどなにも実行する気になれない。
ふとベッドを見てみる。
なんか眠い。
寝よ。
ベッドに横になる。
久しぶりに昼寝とかするな……。
あ、寝れる――
「――きゃあああぁぁぁぁぁぁ!」
急に悲鳴が聞こえる。
水麗のだ。
なんかあったのかな?
……って、こんな呑気にしてられない!
あの叫び声結構ヤバかったぞ!
飛び起きて急いで1階に行く。
「お兄ちゃん!」
「どうした!?」
「そ、そこに……、いる……」
いる?
なんもないように見えるけど?
……いや、もしかして……『霊』とかそういうやつ?
ホラー嫌いの水麗なら叫ぶな。
いや、みんな叫ぶか。
よく幽霊さんとも会うもんな……。
とにかくこの家から――
――? 今なんかちっちゃいやつが床で動いてた?
黒っぽくて平べったい……。
……ゴキブリかよ!
「おお、ゴキブリだな! こういう街にいるのは寄生虫とか多いから気をつけることが必要だぞ! ゴキブリといえばシロアリはゴキブリに近い仲間だぞ! ……どうでもいいな。ではクイズだ! 『康輝は作中で学食を誰と食べたことがある? 全員答えよ』。学食、美味しいやつもあるけど我の口に合わないのもあるんだよ……」




