第223話 部室の掃除中
「前回のクイズの答えは『✕』だ! 海波とは出かけてないぞ!」
将棋部、部室。
いつも通り授業終えてここに来た。
やっぱ部員、もうちょっとほしい。
5人しかいない。
先生も来ないから盛り上がらない。
「……あ、筆箱忘れた」
結城先輩と将棋してる丸木先輩が突然言う。
「ちょっと取ってくる」
「じゃあ私も行くよ」
結城先輩と丸木先輩、同時に立ち上がる。
「えー、じゃあ私も!」
明田先輩も立って廊下に出る。
「最初に教室着いた人が部長ねー!」
廊下から聞こえる明田先輩の声。
その声を聞いて結城先輩と丸木先輩が走って廊下に出た。
……まだ部長決まってなかったんだ……。
部室に残ったのは俺と海波だけになった。
俺たちは今将棋してるわけじゃなくて部屋掃除してる。
ホコリが結構すごかったからすることになった。
掃除を言い出した先輩たちは『椅子の点検中!』とか言ってずっと座ってたけど。
「……大変ですね、将棋部」
モップで床を掃きながら喋る海波。
「前までは大丈夫だったんだけど」
「おとなしかったんですか? 先輩」
「いや、あんな感じだった。ただもう一人先輩いたからその先輩がまとめてくれてたんだよ。今卒業しちゃってていないけど」
酒井先輩だ。
あの人一人でよくあの3人の先輩まとめられたな……。
「それより康輝先輩、夏祭りやるらしいですね」
モップを動かす手を止める海波。
そうなんだよな、やんなきゃ――
「――って、なんで海波が知ってる!?」
「え、皆嘉に言われて……」
ええ!?
皆嘉に!!
あいつに教えたっけ……?
「あの……、なんかすみません」
「あ、いや、謝ることはないんだ。ってか、なんで皆嘉がそのこと……」
「他の先輩に教えてもらったんじゃないですか? ……あ、でも友達いないか、皆嘉」
「やめなさい、一応俺は友達のつもりだけど」
「友達になってくれてありがとうございます」
……なんで礼言われてんの?
それより皆嘉が誰に教わったかだ。
皆嘉によく話しかけるやつ……美月くらい?
でも美月はお祭りのこと知らないはずだ。
じゃあ美月は誰に教えてもらった?
美月に教えそうなやつ……水麗?
そっか、水麗が教えやがったのか……。
あいつなら言いそうだもんな。
「お祭り、康輝先輩はなにをするんですか?」
「まだわからない」
「私も行ってもいいですか? 康輝先輩がなんかしてるところ見たいです」
え、見たいの?
変わってるな、海波。
「久しぶりに登場したな、海波。懐かしい。ではクイズだ! 『水麗は1年生の夏休み中に海波に会ったことがある。◯か✕か』。海波ー!」




