第221話 帰り
「前回のクイズの答えは『◯』だ!」
「じゃあ解散です! お疲れ様でした!」
隣で香菜が叫ぶ。
もう『マイク使おうよ』なんて思わない。
翌朝、全員地上体育館に呼び出された。
俺と叶太、香菜はいつも通りステージにいるけど、香菜以外は喋ってない。
それよりもう解散らしい。
やっと帰れる……。
マジであんまり寝れなかった。
大雅の寝相悪いし、前崎先生はなんか隣で寝言うるさいし。
あー、大変だったならこの行事。
もうやらなくていいよ。
眠いのを我慢しながら水麗たちのところに行く。
水麗は元気そうだ。
「……なんか眠そうだね、お兄ちゃん」
「そう、眠い」
「どうしたんだ? ちゃんと寝ろよ。じゃなきゃ喧嘩できねぇだろ」
大雅、原因お前だぞ。
だいたいなんで寝相で俺にあんなに攻撃できるの?
「水麗、帰ろう。眠い」
「そうだね、帰ろっか。じゃ、私たちは先に帰るね」
水麗が大雅たちに手を振って出口に向かう。
俺も水麗のあとを追った。
「お前は元気なのか?」
「うん、元気だよ」
「よかったな、ちゃんと寝れて」
「いや、寝てないよ?」
……はい?
「寝ないでずっと起きてた」
「え、マジ? 眠くないの?」
「オールするのなんて慣れてるし、1日くらい寝なくても大丈夫でしょ」
ええ……。
水麗って意外と強いんだな。
「ずっと起きてなにしてたんだ……?」
「みんなとかくれんぼ」
……かくれんぼ?
かくれんぼって、あのかくれんぼ?
「教室の中でやったんだ。そしたらみんなすぐ見つかっちゃったの」
そりゃそうだよな。
学校全体じゃなくて教室でやったんでしょ?
隠れるところと人数が合わないよ。
「お兄ちゃんも寝てないみたいだね。なにしてたの?」
「寝る努力をしてた」
「? どういう意味?」
「隣で大雅が寝てたんだけどさ、寝相悪すぎ。常に攻撃喰らってた。あと前崎先生寝言うっさい。ありとあらゆる罵詈雑言を叫んでた」
水麗が視線をずらす。
多分前崎先生が汚い言葉を叫んでるのを想像してるんだと思う。
でも想像できないと思う。
だって前崎先生悪口とか言わないし。
「……それ夢?」
「夢だったら幸せ」
「お兄ちゃんも大変だったね……」
「本当だよ」
そんな会話をしてたら、もう昇降口まで来てた。
さっさと外履きに履き替えて、校舎から出る。
……暑い……。
「かくれんぼ、楽しかったぞ! 我ほ一瞬で見つかってしまったけどな! ではクイズだ! 『康輝は鬼ごっこ、またはそれに似たものをしたことがある。◯か✕か』。……さ、この問題はどうかな? それと作者が体調不良のためしばらく投稿ができない。本当に申し訳ありません」




