第220話 寝る時間
「前回のクイズの答えは『バーコード』だ」
肝試しが終わって、次が就寝になった。
やっと寝れる……。
男子は男子更衣室で女子が教室で寝るらしい。
なんで更衣室なんだろう……。
でも男子更衣室はいくつかあるから、一つの部屋には別に窮屈とは感じないくらいの人数しかいない。
あと寝袋で寝るらしい。学校側が用意してくれた。
俺の隣には大雅と、なぜか知らないけど前崎先生が寝ることになった。
なんでだろう……。
「おーい、消すぞー」
誰かがそう言って、電気が消された。
真っ暗でなにも見えない。
さてと、俺も寝るか……。
「康輝、手つないで寝よ?」
隣から前崎先生の声がする。
それと同時に俺の右手が握られた。
「嫌ですよ」
「えぇ? 本当はつなぎたいけせに。あ、ツンデレ?」
「いや、普通に嫌です」
「もう、冷たいな」
「ってか、なんで俺と手つなぎたいんですか?」
「だって怖いもん」
怖い?
……ああ、さっきの肝試しのせいか。
確かにあれは怖かったな。
マネキンのせいでもっと怖くなった。
「……わかりましたよ。じゃ、このまま――って、痛い!」
俺が喋ってると、何かが俺の頭に降ってくる。
めちゃくちゃ痛い。
「なんだよ!?」
それをどけて見てみる。
脚……?
誰の脚……?
……うん、大雅のだ。
大雅が俺に脚を向けて寝てて、それで俺に当たってる。
「おい、大雅! めっちゃ痛いんだけど!」
いくら大声出しても大雅は動かない。
マジで微動だにしない。
……死んでる……?
……いや、寝てるわ。
早すぎるだろ。
寝るスピード早すぎる。
電気消えてから30秒くらいしか経ってないよ?
え、それとも電気消える前に寝てた?
「おお、風崎面白いことしてんじゃねぇか! じゃ、俺もちょっと……」
前崎先生がなんか喋ってるから前崎先生を見る。
その瞬間、前崎先生が俺の腹に脚を乗せる。
「ちょっ、先生!? なにやってるんですか!?」
「うーん、康輝の温もり」
「なに感じてるんですか!? ちょっ、やめて――グハッ!」
喋ってる途中に、また誰かに蹴られた。
大雅だ。
こいつ本当に寝てるの?
本当に寝相?
絶対起きてるでしょ。
わざとやってるって、これは。
「お、風崎も康輝に脚を乗せたいみたいだな! 俺だって負けてねぇぞ!」
「いや、やめてください! やるなら大雅と仲良く脚乗せ合ってください!」
「えー、康輝がいい」
「なんですか、その発言!?」
「康輝うっさい!」
誰かが叫ぶ。
……騒ぎすぎて怒られたわ。
「なんか楽しそうだな。意外と男子も寝るときはしゃぐのか……。いや、女子たちのやつとはちょっと違うな。ではクイズだ! 『美月は康輝の家に入ったことがある、◯か✕か』。我に関する問題だ!」




