第218話 屋上に着いた
「前回のクイズの答えは『◯』だ!」
屋上に着いた。
月の明かりのおけげで、そこまで暗くない。
でも日本人形なんてどこにあるんだ?
「……あれではないか?」
美月の声で、みんなが一斉にとある場所を注目する。
日本人形が乱暴に置かれてた。
「我が取りに行っていいか? 日本人形を見ると興奮してしまうのだ」
俺たちの返答を聞かないで、美月はそれを取りに行く。
めっちゃ幸せそうな表情してる。
よし、あとはこのまま地上体育館に行けば――
「――!」
美月が突然日本人形を放す。
それは床に叩きつけられる。
「……あ、ああ、すまない。手がすべった」
確かに日本人形の服、すべりそうだもんな。
あと結構持つのに勇気がいる。
「……ごめん……、私……、手……怪我してるの忘れてた……。だから……誰か……持ってくれないかな……?」
美月……?
地声出てんぞ?
あとなんか様子おかしいぞ?
「じゃあ先生持ちたい!」
前崎先生は嬉しそうに日本人形を持つ。
前崎先生もこういうの好きなのかな?
「じゃ、さっさと行くぞ」
「あ、ちょっと待ってよ!」
白斗と冬乃と皆嘉が先に屋上から出ていく。
前崎先生も行った。
「……大雅……」
美月が大雅のシャツを掴む。
「私も……手つないで……」
「はぁ? 急になに言ってんだよ」
「いいじゃん……ちょっとくらい……」
美月?
マジで大丈夫?
おかしくなった?
日本人形のせい?
「……わかったよ。いつも部活支えてくれてる礼だ」
大雅は美月の手を取る。
……なんだこの光景。
『お前ら早く付き合っちまえ』のやつじゃん。
「お前らも早く来いよ?」
大雅は美月を連れてみんなについていく。
俺も行こ。
そう思って歩こうとしたけど、水麗が止まった。
「お兄ちゃん……、もうやめようよ……」
「急にどうした? もうあと半分じゃん」
「怖い……」
「俺もいるから大丈夫」
「だって美月ちゃん……、マジだった……」
マジ?
なにがマジ?
「マジで怖がってたよ……、美月ちゃん……。絶対ヤバいよ、あの人形。美月ちゃん、あれにびっくりして落としてたんだよ。絶対なんかあるよ」
「……大丈夫。きっと中に機械とか入れてて、それが振動してびっくりしたんだろ。今のところ、だいたい脅かしてくるのは先生たちだろ?」
「……じゃあ……、頑張る……」
「ああ、頑張ろうぜ」
俺と水麗は階段をおりた。
「なんか我、震えおるな。なんか恥ずかしいぞ。ではクイズだ! 『体育祭で放送をしたのは誰? 全員答えよ』。体育祭、懐かしいな」




