第214話 先生を感じ取れ
「前回のクイズの答えは『男子』だ!」
光がないからなにも見えない。
でもそれは俺だけじゃない。
先生もそうだ。
先生の気配を感じとって、そこに向けて懐中電灯をもう1回つければいい。
そうすれば先生はまぶしくて一瞬目を閉じるはずだ。
……待って、先生の気配感じようとしたけど、全然わからない。
どこにいるの? 先生。
あー、これもうどうやってもわかんねぇわ。
諦めよ。
そう思ったら、急に光りに包まれる。
白斗のところから光……?
先生はちょうど俺に背中を向けてる。
その隙にみんなのところに行く。
「助かった、ありがとう」
「どうも、じゃ、走るぞ」
ええ……、また走るの……?
もう歩こうよ……。
「……いや、歩いてもいいか。どうせ追いつかれないし」
追いつかれないって……。
先生を見てみる。
確かにもう走れなさそう。
「進むぞ」
白斗が先に行く。
俺たちもそれについて行った。
屋上に行くには5階まで行って、別館に行ってまた階段をのぼらなきゃならない。
5階までなにもなければいいけどな。
歩いてたら、急に『パン!』って銃声みたいな音が響く。
うるさい。
風船割ったのかな?
それより水麗が叫んでない。
いつもなら叫びそうなのに……。
ちゃんと生きてるかな?
「……お兄ちゃん……、手……、つないで……」
やっと喋ったと思ったら、そんなことかよ……。
「なんか来る気がする……」
そうなの?
来る気配しないけど?
「――おお? 塞がれてるぞ?」
前崎先生の声で前を見る。
ここが5階だ。
でも、階段と廊下の境界線のところに机が積まれてる。
確かに塞がれてる。
下の階から行くしかないか……。
「階段から落ちないよう気をつけるんだね」
白斗が急に意味分かんないこと言う。
急になんだよ――
「ゔわぁぁ!」
「うわあああぁぁぁぁぁ!」
机のところから変な声が聞こえる。
そこに光を当てて見てみると、数人の人影が机の向こうからこっち側に手を伸ばしていた。
ソンビみたい。
肌も絵の具で汚したのかな?
お疲れ様です……。
ちなみに二つ目の叫び声は水麗。
人間ってこんな大きな声出るのかってくらいうるさかった。
「水麗ちゃん……、叫びすぎだよ……」
「だ、だって怖いんだもん! 冬乃ちゃん怖くないの!? ってか、怖がってるの私だけじゃん! 美月ちゃんは!?」
「我はこういうホラー好きだからな」
俺の手が強く握られる。
今度はちゃんと水麗の手だ。
幽霊じゃない。
「じゃ、下の階から行くしかねぇってことだな」
「そうみたいだな」
大雅と皆嘉が先に行く。
あいつら怖くないのかな……?
正直俺怖いよ?
「水麗にとっては地獄だな、この行事。ま、康輝といい感じになれるからいっか。ではクイズだ! 『去年の1組の委員長の名前は?』。康輝が嫌いになりそうな人物だな」




