第210話 キャベツ茹でるだけ
「前回のクイズの答えは『焼きそば』だ……」
なんか『女子は外でカレーと米の準備しとくから男子は調理室でキャベツ茹でてろろ』って言われたからキャベツを茹でてる。
そして男子生徒たちの表情が暗い。
いつか男子と女子のケンカ起こりそう……。
「……なぁ、康輝」
「どうした? 大雅」
「レトルトなんだよな、カレー」
「そうみたいだな」
「……もともと野菜とか入ってるよな、きっと」
「多分」
「それなのにこのキャベツ入れるの?」
「俺に言うなよ」
それにしても不思議だな。
なんで野菜は畑からとってくるくらい気合い入れてんのにカレーはレトルト?
百歩譲ってカレーは別にいい。
米はもうちょっと頑張ってほしかった。
せめて炊飯器で炊くくらいはしようよ。
しかも男子と女子の仕事の差。
男子は畑まで行ったのに……。
……いや、女子もわざわざ米とかレトルトカレーとかスーパーで大量に買ってきたのかな?
「こっち茹で終わったぞー」
「こっちもー」
みんな終わったみたい。
俺のところもそろそろかな……?
よし、これを移して女子たちのとこに持っていくか。
なんか外に行ったら女子たちはもう準備終わってた。
なんでだろう、女子はめちゃくちゃ楽しそうな顔してる。
レトルトカレー温めるのそんな楽しい?
まぁ、楽しいと思うけど……。
それより米どうやってつくったの?
外に電子レンジ置いてるの?
「終わりましたか? こっちはもう終わってます。あとはお皿に移すだけです」
どっからか出てくる香菜。
まぁ、そりゃすぐ終わるよな。
「え? 香菜ちゃん、もうそれも終わってるよ」
香菜の後ろから女子生徒が喋る。
それも終わってたのかよ――
――え、終わった!?
皿に移し終わったってことは、もう完成!?
なんのためにキャベツ茹でたの!?
「では、キャベツをかけていただきましょう」
え、キャベツかけるの!?
……あ、『キャベツかけて、混ぜて食べる』ってことか。
「一応皆さんにも注意しときましょっか。『キャベツとカレーを混ぜないでください』と」
え、混ぜないの!?
「そっちのほうが美味しいので」
それは個人の好みだと思うけど……。
「では、男子の皆さんはお皿をお願いします」
……正直、香菜のこと嫌いになりそう。
「男子、お疲れ様でした。我等女子はただレトルトカレーを温めながら会話してただけだけどな。ではクイズだ! 『前回のクイズより、康輝は焼きそばをつくっているということがわかったが、なにをしたときに、それをつくった?』。……本当に我をいじめたいのか?」




