第208話 『逃げる側』の負け
「前回のクイズの答えは『◯』だ!」
結果は鬼の勝ち……、だよな……?。
俺たちの負けか……。
それより状況が理解できない。
「皆嘉……、お前……」
「ごめん、康輝、騙してて」
マジで状況がわからない。
皆嘉って捕まったんじゃないの?
「その感じじゃ、皆嘉が『裏切り者』ということを知らなかったみたいだな」
白斗の声がする。
白斗がゆっくりと俺に向かってきてた。
「……そんな気はしてたよ」
冬乃も来る。
「皆嘉くん、『裏切り者』だったんだ」
「うん」
「だよね。最初に証言してたときになんとなくわかってた」
ええ……、なんで……?
どこに『裏切り者』ってわかる要素があった?
「まず、大雅くん……だっけ? が『裏切り者』の対処法について質問してたとき、皆嘉くん答えてたじゃん? 『紙に書く』ってやつ。それって私、知らなかったんだ。それに、白斗以外の人はそのことを知らなそうな顔してた。それが引っかかってたんだよね。『なんで皆嘉くんだけ知ってるんだろう』って」
おお、なんかすごい推理。
確かにそう言われればそうだな。
皆嘉だけ知ってた。
皆嘉が『裏切り者』だとしたら、皆嘉の行動も理解できる。
俺が窓から入ってきたとき、皆嘉は俺に背中を向けてなんかしてた。
それは『鬼に色々と情報を連絡するため』だ、多分……。
うわー、なんか悔しい。
皆嘉が『裏切り者』だったのか。
「……そうだ、白斗。お前本気出してた?」
「どういう意味だ?」
「お前ならもうちょっと違うやり方できたんじゃないか? もっと上手くやれば、冬乃にバレなかったと思うんだけど」
「気分だ」
ええ……、気分って……。
白斗ってこんなキャラだったっけ?
「……これで終わり? もしかして」
「そうみたいだ」
「じゃあ……、『罰ゲーム』って……」
「逃げる側……かな?」
「『罰ゲーム』って……、前崎先生とデート……?」
「…………」
いや、黙るのやめよ?
気まずい。
それより罰ゲームだ。
前崎先生とデート……。
嫌だわ、嫌すぎる――って言っちゃダメだから言わないけど。
「次は夕飯の準備だ。早く行くぞ」
白斗がどっか行く。
夕飯準備、か……。
よし、俺も行くか。
……そういえばどこに行くんだっけ?
ヤバい、実行委員なのになんもわらかない。
マジでどこに行くんだっけ?
「我等が負けてしまったぞ……。悔しいな。ほんっとうに悔しい。ではクイズだ! 『康輝は料理をしたことがある。◯か✕か』。……」




