第203話 第3物置
「前回のクイズの答えは『◯』だ!」
「で、どこに隠れるんだ?」
この教室の中を見渡しながら言う大雅。
「俺と康輝は隠れなくても大丈夫だと思うけど、他は隠れないとヤバいだろ?」
「いや、俺もそろそろ限界だから隠れたい」
「え、もう限界なのか? 冗談だろ?」
「最近運動してないからな。落ちた」
心外って目で見てくる大雅。
そんな目で見られてもな……。
「とにかく、どっか隠れるぞ」
「……わかったよ。じゃ、どこにする? ここか?」
「あ、私いいところ知ってるよ! 絶対に見つからないような場所!」
冬乃がピコピコハンマーを片手に、俺の肩に手を乗せる。
どこから持ってきたんだよ、そのピコピコハンマー……。
「学校内ならどこでもいいんでしょ? じゃあ『第3物置』はどう?」
第3物置?
聞いたことないところだぞ。
「ああ、そこいい! 我もそこに行きたい!」
美月がそんな興奮するってことはなんかヤバいところなんだろうな……。
「あそこならバレないよ! じゃ、行こうー!」
冬乃が廊下を進む。
もうちょっと警戒していこうよ……。
4階まで来た。
ここに『第3物置』なんて教室あったっけ?
『教室』じゃないかもしれないけど。
「ここだよ!」
冬乃がとある教室の前で止まる。
確かに『第3物置』って書いてある。
冬乃はその教室のドアを開ける。
中は結構暗くて、目がなれるまで見えなさそう。
カーテンも閉められてて、光が全然入ってこない。
「じゃ、入ろ?」
冬乃はさっきより小さい声で言って、教室に入る。
俺たちも教室に入った。
冬乃はそれを確認すると、ドアを閉める。
マジで暗くて全然見えない。
確かにこれなら見つからなさそうだ。
「――あ、お兄ちゃん? ごめん」
水麗の声がする。
なにに対して謝った……?
「――康輝か? いつの間に俺の前に来たんだな」
大雅の声もする。
こいつらなに言ってんだ……?
でもそろそろ目がなれてきた。
これで見えそう――
――って思ったら、俺の前に結構な数の人影が見えた。
水麗たちじゃない。
なんだこれ……?
……マネキン?
「あ、みんな気をつけてー。ここいっぱいマネキンいるから」
いやいや、怖いって。
ホラーじゃん。
だから美月も喜んでたのか。
真っ暗闇の中からマネキンって……。
そう思ってたら、ドアが開く。
光眩しい……。
誰が開けたのかを見ると、白斗だった。
「なんだ、キミたちもいたのか」
白斗は中に入ってドアを閉める。
そして教室の端に行った。
なんか『今話しかけんな』って感じがすごいからそっとしといてあげよ。
「暗闇からマネキン……、ホラーだな! うん、それくらいだ! ではクイズだ! 『美月は普段、声を高くしてる? 低くしてる?』。問題文に注意だ!」




