第20話 中間テスト
二週間後
ああ、ついにこの日が来てしまった……。
中間テスト、初日。
面倒くさい……。
「……? 康輝、お前元気ねぇな。どうした?」
教室に入った瞬間、大雅が俺に向かってそう言う。
一緒にいた水麗はそのまま自分の席に向かう。
「お前……今日からテスト期間だぞ……」
「へー、そうなんだ。ま、別に焦ることじゃないけど」
……こいつ、ただの喧嘩バカかと思ってたけど、意外と勉強できるのか……?
「赤点じゃなければいいんだよ!」
……うん、違うみたいだ。
俺は黙って自分の席に着く。
あと数十分で始まってしまう……。
「終わったー!」
俺はつい大声を出してしまう。
……ま、終わったって言っても一日目だけだけど。
「あ、そうだ」
学校からの帰り、俺と水麗は帰るために歩いていた。
その時、水麗が急に言う。
「お兄ちゃん、中間終わったあとなんだけどさ。空いてる?」
「あー、確か空いてた気がする」
「じゃあさ、大雅と美月ちゃんと一緒に遊園地行かない?」
いきなりだな……。
てかこういう話って今するの?
「俺は全然いいけど……」
「やった! ダブルデートだ!」
……本当にこいつ、何言ってるんだ?
まあ、どっちにしろ中間テストを終えなければならない。
家に帰って勉強しなければ……。
四日後
今日でテスト期間終わり!
もう自由だ!
「お主、そんなに嬉しいのか……」
隣から美月の声がする。
俺が隣を見ると、そこには美月がいた。
……こいつ、一組に入るのが好きなのか……?
「遊園地の件なのだが、明日でよいか?」
明日……本当にいきなりだな……。
まあ、なんにもすることないから、なんともないけど。
「わかった、何時でどこ集合だ?」
「そういうのはメールで知らせた方が良いだろう」
美月はそう言い、スカートのポケットからスマホを出す。
「繋げよう」
……そういえばまだこいつとメール繋いでなかった。
「ああ」
俺もスマホを出す。
「……美月……」
誰かが学校の屋上で呟く。
新坂皆嘉だ。
周辺には誰もいない。
「頼んだぞ……美月……。俺の……最後の希望だから……」
遊園地、「一緒に行こ?」って言われたことありません……
皆さんは……言われたことはありましたか?




