第195話 嘘
前回のクイズの答えは『◯』だ!」
一斉に襲いかかってくる鬼たち。
こっから隙を見つけて逃げるのは難しそう。
でも捕まりたくない。
捕まったら暇になりそう。
うん、捕まりたくない!
じゃあどうしよっかな……?
ちょっとからかうか。
「なぁ、ちょっと待ってくれ」
俺は両手を挙げる。
でも鬼はまだ止まらない。
「俺は逃げてるやつの居場所を知ってる」
必死に思いついた言葉がこれ。
これなら『どこにいるんだ? 教えてくれ』って言ってくれ――ないか。
『だからなんだよ』で済まされそう。
うん、完全に失敗したわ。
あーあ、『裏切り鬼ごっこ』、楽しかったなー……。
「――本当か?」
鬼たちの動きが止まる。
あれ、成功した?
「ああ、そして俺は『裏切り者』だ」
調子乗って出た言葉がこれだった。
これなら見逃してくれそう。
「それは嘘だ。『裏切り者』は鬼たちにわかるようになっている。お前の名前は紙に書いてなかった。つまりお前は『裏切り者』じゃない」
え、そうなの?
『裏切り者』って鬼にわかるようになってるの?
……そういえばそんなこと香菜が言ってたような……。
うわー、また完全に失敗したわー……。
もうどうせ捕まるんだ。
最後くらい変な言い訳して終わろ。
思いついたのそのまま言えばいいや。
「確かに、正式な『裏切り者』じゃない。でも、俺は鬼の味方だ。それを証明するために、今から逃げてるやつが隠れてる場所を言う。ただ、それは『今俺を捕まえなかったら』の話だ。今お前らが俺を捕まえたら俺はなにも言わない、だけどここで捕まえなかったら言う。どうだ? 捕まえるか?」
「……じゃあ逃げてるやつの名前と場所を言え」
お、これ成功じゃね?
意外といけるな。
そしてちょろいな、この鬼たち。
問題は誰を犠牲にするか、だよなー……。
大雅は水麗と一緒にいるから無理。
そもそもどこに逃げたか知らない。
ま、それはみんななんだけど。
冬乃でいっか。
運動はできなくても、あいつ頭いいからなんとかするだろ。
場所は工芸室でいいや。
あいつ、あんなとこに行かなそうだし。
「工芸室だ。工芸室に桃山冬乃がいる」
「……確かめてくる。野村と林はこいつを見張ってろ」
鬼の一人はそう言って、教室から出ていく。
他の鬼たちも出ていった。
ただ、二人だけ残った。
男子生徒の鬼と女子生徒の鬼。
あいつら、確認しにいったのか。
もしそこに冬乃がいなかったら、俺は嘘をついたことになる。
そうなったら俺は捕まるだろうな……。
「おい、お前はまだ信用できない。廊下から離れろ」
「? じゃあどこに行けばいい?」
「窓のほうに行け。そこが出入り口から一番遠い。従わないなら捕まえる」
「はいはい」
俺は言われた通り窓の近くに行く。
……これチャンスじゃね?
「冬乃ー! なんかかわいそうだな……。あと康輝、意外と変な嘘思いつくな。ではクイズだ! 『1年生のとき、学園祭で康輝のクラスはなにをした?』。それと、作者の都合上、しばらく投稿時間がずれるらしい。本当に申し訳ございません」




