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第192話 工芸室へ

「前回のクイズの答えは『すき焼き』だ!」

 「――いたぞ!」


 なんか下から声がする。

 俺は非常階段の柵から下をのぞいてみる。


 地面のところから数人の鬼が俺たちを指差してた。

 『いたぞ!』って叫んだらバレるだろ……。


 ま、叫んでくれたおかげ気づけたし、逃げるか。


 「行くぞ、大雅」

 「ああ、一緒に行こうぜ」

 「わかってる」

 「どこ行く?」

 「隠れながら逃げたいな。……! まず工芸室行こうぜ!」

 「? なんでだ?」

 「行けばわかる」


 俺はすぐ近くの出入り口から廊下に行く。

 工芸室は1階にあるからな……、バレやすくなるな……。

 ま、バレたらバレたですぐ逃げるか。


 俺と大雅は無言で走る。


 ……うん、工芸室に着いた。

 なんでだろう、鬼に一人も会わなかった。


 「で、なんでここ?」

 「物を取りたいんだ。ここなら多分あるだろ」


 俺は工芸室に入る。

 見た感じ、誰もいなさそう。


 「気をつけろよ? いつ出てくるかわかんねぇし」

 「出てきたら避ける。でも大量に来たらヤバいな……。そんときは大雅、お前一人でも逃げろ」

 「んなこと言うなよ」


 なんか大雅、本当に成長したな……。

 去年の大雅なら『鬼なんか喧嘩でボコボコにしてやる!』とか言ってそうなのに。


 ま、早く取りに行こ。


 奥の方まで行く。


 ……あった。

 カゴの中から俺は長い縄を取り出す。


 「? 縄? なんのために使うんだ?」

 「これなら逃げやすいかなって。どっかに引っ掛けて飛んでいったりもできるし、屋上から垂れ流しといていつでも屋上に行けるようにしたり、廊下に張り巡らせて鬼を閉じ込めることもできる」

 「そんなのやっていいのかよ……。ルール違反にならないか?」

 「ルール説明で禁止行為なんて言われてない。多分みんなやってるだろ。白斗とか」

 「ああ、僕もやるつもりだった」


 大雅の後ろから白斗の声がする。

 予想通り、白斗がいた。


 「あ、白斗じゃねぇかよ。一緒に逃げるか?」

 「いや、僕は一人で逃げたい。そっちのほうが見つかるリスクが少ない」

 「そうですか。俺みたいなバカはお前みたいな天才の考えがわかりませんよ」

 「当たり前だろ。バカと天才が対等に話せると思ってるのか?」


 意外とキツいこと言ってくるな……。

 ま、白斗は一人で逃げたいみたいだし、一人にさせてあげるか。


 「じゃあな、白斗」


 俺は工芸室から出た。


 「……どこに行くんだ? そんな縄なんか持って」


 そりゃ不思議に思うよな。


 「屋上に行こうと思ってる。一緒に行くか?」

 「行かないと言ったはずだ」

 「はいはい、すみませんね」


 俺と大雅は屋上に向かった。






 「――屋上、ね……」


 一人になった白斗はそうつぶやいた。

 そしてポケットからスマホを取り出し、文字を打ち込んだ。


 『橋本康輝と風崎大雅、屋上に向かった』


 白斗は何事もなかったかのようにスマホをしまって、窓から『鬼』をながめた。

「なっ、白斗……! お主鬼に連絡したわけではないよな!? ただ自分のスマホで親とかに連絡しただけだよな!? ……こんなときに親に連絡するわけないか。ではクイズだ! 『白斗はメガネをかけている、◯か✕か』。へー……」

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