表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/347

第19話 クイズ大会?

 一時間後


 「ああー、疲れたー!」


 俺は教科書とノートを勢いよく閉じる。

 美月は余裕そうな顔でノートを閉じる。


 「……お前、全然疲れてなさそうだな……」

 「疲れたと思ったら生物のことを考えれば治る。我は生物が好きだからな」


 ……生物が好き……生物のことを考えれば治る……。

 すげぇ……。


 「……あ、そうだ。じゃあ俺が生物の問題出すから、答えてくれるか?」


 俺がそう言うと、美月は少し目を輝かせる。


 「おお、面白そうだな! 早速出してくれ!」

 「じゃあ問題な。一部の郷土料理を除いてウナギの刺身がない理由は?」


 ちょっと難しいかな……?


 「簡単だ。『ウナギの血液にたんぱく質性の毒があるから』であろう」


 おお、答えられないと思ったけど……生物マニアか?


 「我からも問題を出していいか?」

 「ああ、生物に関する問題なら」

 「当たり前だ。では問題だ。ホッキョクグマの肝臓が食べられない理由は?」


 ……うん、中二のとき勉強しててよかった……。


 「ビタミンAが多量に含まれてるからだろ?」

 「ほう……お主もかなりの『生物マニア』らしいな」


 どうやら正解したらしい。


 「じゃあ俺の番だな。ピーマンは哺乳類では人間しか食べられない理由を……」





 「ミツバチ一匹が一生で集めることができるハチミツの量は?」

 「約四グラム」


 俺らはこれまでの間ずっとクイズを出し合っていた。


 美月はふと、時計を見る。

 もう六時を過ぎている。


 「! すまぬ! もうこんな時間……」

 「あ、もう六時か……。じゃあ俺帰るな」


 俺はノートや教科書をリュックに入れ、立ち上がる。


 「送って行こうか?」


 美月も立ち上がり、俺にそう言う。


 「いや、いいよ。こんな暗いのに、女子高生一人で歩くのも危ないだろ」

 「まだ明るいがな」


 結局俺は一人で帰ることになった。

 ここから俺の家まで三十分くらいだ。


 「じゃ、お邪魔しました」


 俺は美月の家から出て、今日勉強したことを振り返る。

 ……生物のクイズしか覚えてねぇ……。




 「珍しいわね、男の子を家に入れるなんて」


 そう言ったのは美月の母。

 今、康輝が帰っていったところだ。


 「中学生までは男の子を一人も家に入れなかったのに」

 「う、うるさい! 別によかろう!」


 美月は怒鳴るように反論する。


 「あの子、イケメンだったね。ああいう子の前でもその口調なんだ」

 「だ、だから別に……我の自由だろ! と、とりあえず我は腹が減った! 夕飯をつくってくれ!」

 「はいはい」


 美月の母は笑いながら台所に行く。


 美月は自分の母の背中を見て思い出す。




 「康輝も一緒に、シャワー浴びる?」




 美月がシャワーを浴びる前に康輝に言った言葉だ。


 あのとき、口調……戻っちゃった……。

 美月はそう思いながら自分の部屋に向かった。

 

美月のレアな瞬間でしたね。

照れるシーンといい、口調がいつもと違うシーンといい。

個人的に美月は好きなキャラなのでなんか嬉しいですw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ