第187話 美月の告白
「前回のクイズの答えは『◯』だ!」
「康輝、そんな鈍感じゃなかったじゃん……」
なんか頬膨らませてる美月。
「……って、驚かないんだ」
「まぁ、俺だって美月のこと好きだし」
「え、……マジ?」
「水麗も好きだと思うぞ? お前のこと」
「そ、そういう『好き』じゃなくて、男の子として『好き』だったの!」
へー、そっか……。
なるほどね――
――って、え!?
マジで!?
「本当に鈍感になったね」
「いやだって、その考えにならないじゃん!」
「……驚いてる?」
「めっちゃ驚いてる!」
「……変わったね、去年と」
……そんなに変わったかな?
よし、だいぶ落ち着いてきた。
「だって康輝、入学したときなんて叫んでたんだよ? ほぼみんなと初対面なのに」
入学式のことか……。
あれは俺の意思じゃない。
うん、そうだ。
水麗がやらせたんだ。
「黒歴史はあんまり思い出しくない」
「一応黒歴史なんだ……」
「だってあんなん恥ずかしい以外ないじゃん」
「確かに、周りの目、痛かったね……。1年2組の生徒、みんな細い目で見てたよ?」
そんな目で見られてたのか、俺。
まぁ、過ぎたことを気にするのはよくないよな、うん。
「それで、康輝が好きだったんだけど……」
「ああ……、そうか……、ありがとな……」
「ちょっとお礼を言いたくて……。私、高校に行くまで恋愛とかあんまり興味なくてさ。それより男性が怖くなっちゃってて……、ストーカーに遭ってから」
そりゃ男性怖くなるわな。
「それで、康輝のこと好きになって……、恋愛に興味持てたっていうか……」
……俺のおかげか?
俺なんもしてないぞ?
「今の康輝は『友達として好き』だったんだけど……、昔は『異性として好き』だったの……。……あ、今でも康輝は好きだよ! 『友達として』だから安心して!」
なにを安心すればいいんだ……?
ってか、こういうふうに叫んでる美月、久しぶりに見たな。
いや、初めてか?
「それで、今他に好きな人ができちゃってて……」
「あ、そうか。よかったな」
「うん。でも、なんで好きになったかわからないの」
あー、そういうタイプか。
「理由がわからなくて……」
「理由なんてなくていいと思うぞ?」
俺が言うと、美月は驚いた表情を浮かべて俺の顔を見る。
そんな驚くことか……?
「好きなものとか人に理由なんてつけなくていいと思う。ただ『好き』ならそれでいいんだ」
「…………」
黙り込む美月。
……なんか喋ってほしい。
こっちが恥ずかしくなってくる。
「……うん、そうだよね! ありがとう!」
急に笑顔になる美月。
解決したのかな?
「康輝に相談して正解だった! ありがと!」
「役に立てたならよかった。じゃ、今日も頑張ろうぜ」
「うん!」
美月は立ち上がって、出口の近くに行って立ち止まる。
「早く行こ!」
満面の笑みの美月。
……なんかこの美月、違和感しかない……。
「おー、我の告白だー! レアシーンだな! うん! ではクイズだ! 『美月は康輝の前で泣いたことがある、◯か✕か』。……なんで我?」




