第185話 とうとう明日
「前回のクイズの答えは『康輝』だ!」
リビングの机の上に置いてる紙を見つめる。
なんか文字がびっしりと書いてある。
今日の帰り、前崎先生からもらったやつだ。
「――なにそれ?」
後ろから水麗の声。
「明日のやつ」
「明日? なんかあったっけ?」
「お前が一番楽しみにしてたやつじゃねぇかよ……」
「……あ! 学校に泊まるやつか!」
とうとう明日になってしまった。
この紙は、なんか企画とか書いてある。
「へー、その企画書?」
「まぁ……」
「どんなこと書いてあるの?」
「なんか意味わからないこと」
俺は紙を水麗に渡す。
水麗は上から読み始める。
「『13時、昼食開始』、『15時、裏切り鬼ごっこ』……。『罰ゲーム、前崎先生と恋人のフリして二人で遊園地』……。」
ちゃんと声に出して読むところ、なんか水麗っぽい。
「この罰ゲーム、考えたの前崎先生?」
「いや、他のクラスの陽キャ女子」
「……これマジでやらなきゃいけない系かな?」
「わかんない。まぁ、負けなければいいだけだ」
「そもそも『裏切り鬼ごっこ』なんて聞いたことないんだけど……」
「名前の通り、逃げる側が鬼に密告とかするらしい」
「……友情とか壊れない?」
「『そのくらいで友情壊れるやつとは友達になるな』って伝えたいんだと思う」
水麗は俺に礼を言って、紙を返す。
「で、お兄ちゃんはなにするの?」
「なんか色々するらしい。ルール説明とか」
「大変だね」
「本当だよ」
俺は紙を折って、ポケットに入れる。
なんのためにこの紙をもらったんだろう……。
別にこの紙に『何時にどこ集合』とか書いてないし、このくらいのことだったらもう校長とかから朝会で聞いてるし。
「じゃ、夕飯つくってまーす」
水麗は台所まで行く。
俺はこの紙をしまいに行きますか。
そうしようとしたら、ポケットに入れてたスマホが震える。
誰かからメールが来たのかな?
俺はスマホの電源をつける。
……白斗からだ。
なんか久しぶりな気がする、白斗。
さて、どんな内容かな?
『冬乃になにした?』
いや、怖いって。
久しぶりだなって思ったらこんなこと言われるの?
とりあえず返すか。
『いや、なんもしてないけど』
『あいつ、さらにバカになったぞ』
え、冬乃バカになったの?
なんで?
『どういう意味?』
『なんかなにも気にしてない感じ』
……この前相談したからスッキリしたのかな?
『まぁ、それくらいだったらいいんじゃね?』
よし、白斗はなんて返してくるかな?
『そんなことない』とかかな?
……まだかな?
……そろそろ?
……あ、これもう返ってこないわ。
訊きたいことだけ訊けたからもういいのか。
「久しぶりに白斗が出てきたぞ! なんか懐かしいな! ではクイズだ! 『水麗と水麗の父、どっちが作中で先に喋った?』。うん、懐かしい」




