第181話 冬乃の相談?
「前回のクイズの答えは『◯』だ! 康輝の誕生日と、康輝との勉強のときだな!」
「康輝くん……」
「よ、よお、冬乃……。こんな時間までどうした?」
なるべく笑顔をつくって話す俺。
こういうのって『なんで泣いてたんだ?』とか訊かないで、敢えて触れないのがいいんだよな……?
「……見た……?」
「なにを?」
「じゃあ……、聞こえた……?」
「なにを?」
「……嘘つかなくていいよ……」
え、なんで嘘ってわかった?
俺ってそんなに演技力ない?
「私、結構大きな声出してたし……、聞こえないわけないよ……。それに康輝くん、頭いいから私の顔とか見ればわかるでしょ?」
……なんも言うことできない。
「ハハ……、学校では元気でバカキャラ演じてるのに、学校でこんなことしちゃダメだよね……」
「……冬乃……、なんかあったのか?」
俺は教室の中に入って、冬乃に近づく。
なんかあそこまで言われちゃうと、放っておけない。
「いや、なんもないんだけどね……。ちょっと疲れちゃって……」
「疲れた?」
「うん。……康輝くんなら話しても大丈夫だよね」
自分を説得するように言う冬乃。
「ちょっと時間、大丈夫かな?」
「ああ、俺は大丈夫だ。特に予定とかないし」
「じゃあさ、ちょっと相談したいからついて来てくれないかな……?」
「――ありがと、来てくれて」
冬乃の家。
今日は定休日だから、客はいない。
俺たちはテーブル席について、向かい合うかたちで座ってる。
「それでね、ちょっと――」
「待った」
隣に男が来てそう言う。
多分、冬乃のお父さん。
その人は、手に杏仁豆腐を二つ持ってる。
「甘いもん食ったほうがやりやすいだろ? お代は結構なので、どうぞ」
「あ、ありがとうございます……」
俺の前に杏仁豆腐を一つ置いてくれる。
美味そう。
冬乃のところにも一つ置いてから、その人はどこかへ行く。
「……そうだよね。せっかく来てもらったのに、なんで私、そういうのできないんだろうね……」
冬乃はテーブルを見ながら言う。
なんか病んでる……?
「じゃあ、相談していい……?」
「ああ、なんでも大丈夫だぞ」
冬乃は1回ため息をついてから、俺の顔を見る。
「私さ、みんなの前ではキャラを演じてるんだ」
「……なんとなく知ってた」
「? なんで?」
「体育祭のとき、防犯カメラで見たんだ。お前、友達に『ヘラヘラすんな』って言われてただろ? そのシーンを見てた」
「……やっぱ康輝くんには敵わないなー……」
体育祭のときを思い出す。
防犯カメラで見てたら、映ったのは冬乃たち。
『ヘラヘラすんな』って言われた冬乃は『私だってヘラヘラしたくてヘラヘラしてるわけじゃないよ……』って言ってた。
「それでね、疲れちゃったんだ、私」
冬乃は今度は杏仁豆腐を見つめる。
でも、特に食べる気はないようだ。
俺はなにを言えばいいんだろう……。
「冬乃……、意外とちゃんとしたキャラだった……。そうだよな、無理して周りに合わせたりするのは疲れるよな……。それで作者は高校で新しい友達が……。いや、なんでもない。ではクイズだ! 『白斗と冬乃、どちらが先に登場した? また、第6話の白斗は含めない』。これは覚えているか? そして作者からだ。『作者の中間考査が近いので、しばらく投稿できません。本当に申し訳ありません』。高校最初の中間考査……」




