第174話 見部に来てくれた
「前回のクイズの答えは『美月』だ! 今は1組だぞ!」
オリエンテーションが終わって、今日から授業が始まった。
まだ去年の復習みたいなやつだから、そんなに難しくない。
そして放課後。
今日から部活がある。
部長であった酒井先輩がいなくなったから、今新しい部長を決めようとしている。
「絶対私のほうがいいって!」
「いや、私のほうが責任感あるし」
「いつでも冷静になれるの私だよ?」
部室で先輩たちがなんか口論してる。
もう将棋部も4人になってしまった。
俺、明田先輩、丸木先輩、結城先輩。
なんとなくここにいるのがつらい。
「康輝はどう思う? 私のほうがいいよね?」
明田先輩がいきなり俺に訊いてくる。
正直どうでもいい。
「じゃ、じゃんけんで決めればいいと思います……」
「いや、じゃんけんじゃ不公平! 対局して一番強かった人を部長にしよう!」
……案があるなら俺に訊くなよ……。
早速盤と駒を用意する先輩たち。
俺はなにをすればいいんだろう……。
詰将棋でも一人でやってるか。
俺が詰将棋の本に手を伸ばしたとき、ドアが開いた。
顧問の三橋先生かな?
入口を見てみる。
三橋先生じゃない。
女子生徒だ。
しかもこの人……。
「誰? ここ将棋部の部室なんだけど」
なぜか知らないけど強い口調で明田先輩が言う。
すると、その女子生徒は困ったような表情をして明田先輩から目をそらした。
「あ、えっと、私……」
「新坂海波さん、だろ?」
つい喋ってしまう俺。
すると、その女子生徒は驚いた表情で俺を見る。
「なんで……?」
「皆嘉の妹だろ? 学園祭で会ったけど、覚えてないか?」
「……あ、そういえば……」
思い出したらしい。
先輩たちは『誰だよ、こいつ』みたいな目で海波さんを見てる。
「私、見部に来たんですけど……、三橋先生から許可をもらって……」
「そっか、じゃあ中に入ってきな?」
俺が言うと海波さんは遠慮がちに部室の中に入る。
「あの、新坂海波です、よろしくお願いします」
海波さんは頭を下げる。
俺が入部したとき、こんなことしなかったな……。
確か酒井先輩が優しくなんか言ってくれた気がする。
あのときは助かったな……。
「海波ちゃん? あのさ、この中で誰が部長にむいてる?」
結城先輩が海波さんにそんなことを訊く。
もちろん、海波さんは困ってるみたいだ。
まさか海波さん、将棋部に来るとは……。
「ほう、海波のやつ、将棋部に入ろうと思ってるのか。どうせなら陸上部のマネージャーになってほしかったな……。ではクイズだ! 『皆嘉は作中で、何かしらの部活に所属していることがわかってるいる、◯か✕か。◯の場合は所属してる部活を答えよ』。皆嘉の部活か……」




