第17話 部活
翌日
俺は先生に入部届をもらい、将棋部の顧問の『三橋』という先生にそれを出した。
水麗は結局ダンス部、大雅は陸上部にしたらしい。
……文化部俺だけだ。
まぁ、そんなことはいい。
今日から部活らしい。
家に帰っても暇だし、行くか。
……確か、この部屋だった気がする。
俺はドアをノックする。
何も反応がない。
こういうのってさ、中に入らないほうがいいじゃん?
でもね、なぜか俺、ドア開けちゃったんだよ。
中には将棋の駒でドミノをしている三人の女がいた。
「? 誰?」
突然、三人の内の一人が俺に話しかける。
「今日三橋先生が言ってたでしょ? 新しい子が来るって」
別の女が言う。
……俺は何をすればいいんだ……?
「お前ら、まず紹介しろよ」
俺の後ろから男の声が聞こえる。
俺が驚いて後ろを見ると、そこには一人の男子生徒がいた。
「あ、部長!」
部屋の中にいる一人の女がそう言う。
……部長?
この人が……?
「俺は将棋部部長、酒井理玖だ。君は橋本康輝くんかい?」
めっちゃイケボじゃん……。
「あ、はい」
「そうか、じゃあこの部活のことを紹介するね。この部活は将棋をするだけ」
……あ、それだけ?
短くない?
「まぁ、中に入って将棋をしよう」
ここからはただ俺が将棋をするだけなのでカットする。
午後七時。
俺は水麗のつくってくれたラーメンを食い終わり、今俺の部屋でゲームをしている。
……あ、俺一人でね。
やっぱゲーム楽しい……。
そのとき、俺の部屋のドアがノックされる。
「……お兄ちゃん、入っていい……?」
水麗の声だ。
いつもより声が暗い気がする。
「ああ、入っていいぞ」
すると、水麗がドアを開ける。
いつもより元気がない。
「どうした?」
「……ちょっと話したいことがあるの……」
……まじでヤバい話みたいだな。
「なんだ?」
「……お兄ちゃん、もし、私が……前のお母さんのこと……思い出したら、怒る……よね……?」
……確かに、重い話だな……。
「私……」
「水麗」
俺はゲームのコントローラーを床に置き、水麗に近づく。
「……やっぱ、怒ってるよね……」
「いや、全然怒ってねぇよ」
俺は水麗の頭をなでる。
水麗は少し驚いているようだ。
「俺だって思い出すことはある。しかも、まだ俺らが家族になって数日しか経ってないだろ。気にすることないと思うぞ」
……何言ってるんだ、俺。
全然説得力ないし。
「……うん、ありがとう! ちょっと元気出たよ!」
……すげぇな、よく今ので……。
まぁ、水麗が元気になってくれたならそれでいっか。
水麗はそのまま俺の部屋から出る。
……よし、ゲームの続きするか。
……ん!? ゲームオーバー!?




