第165話 いい考えない? 〜冬乃〜
「前回のクイズの答えは『康輝の誕生日』だ!」
3組のところまで行ってみた。
そしたら廊下に冬乃がいた。
なんか友達らしき女子生徒たちと話してる。
これは……、今はやめたほうがいいかな……?
「……? ちょっと待ってて」
冬乃の声が聞こえた。
そしたら冬乃が俺のところまで来た。
「なにかあったの?」
「いや、大丈夫だけど……。お前も大丈夫か? 友達と話してる途中だったのに」
「大丈夫大丈夫! で、なにかあった?」
大丈夫そうだし相談するか。
「今日は水麗の誕生日なんだ。それで、水麗が喜びそうなことしてやりたいんだけど……」
「え、水麗ちゃんって今日誕生日なの!?」
「ああ、そうなんだ」
「2月なんだね、水麗ちゃんって。メモしとこっと。……で、水麗ちゃんの喜びそうなことか……。ケーキとかつくってあげれば?」
ケーキか……。
でもケーキじゃな……。
「俺のつくるケーキなんか食ってくれると思うか? あいつのほうが料理得意し」
「大事なのは『味』じゃなくて『気持ち』! 同じ食べ物でも、精一杯つくってくれた人のやつと面倒くさそうにつくってくれた人のやつじゃ違うでしょ?」
「いや、俺料理なんてしたことねぇからかなりヤバイ味になりそうなんだけど……」
「吐くレベル?」
「多分吐くレベル」
「じゃあやめよっか」
うん、ケーキはやめよう。
「水麗ちゃんが喜びそうなやつ、ね……。……! 『康輝くんを1日使える券』なんて――」
「却下」
「ええ……、いい案だと思うのに」
いや、全然よくないよ。
そんなんもらっても嬉しくないだろ。
「逆に康輝くんは思いつかない? 水麗ちゃんがしてほしいこととか」
「俺か?」
「なんか日常でさ、『これしたいなー』とか水麗ちゃんが言ってなかった?」
「言ってなかった気がする……」
「ってことは、水麗ちゃんは『今の生活』に満足してるってことでしょ? それならいいんじゃない? 『ずっと今みたいな生活をする』って約束とか」
「約束はもうしたんだよな……、しかも結構重い約束」
『水麗とずっと一緒にいる』。
結構重いやつだよね……。
水麗からも『ずっと一緒にいて』みたいな約束されたし。
「でも水麗ちゃんが喜びそうなのはそれしか思いつかないな……」
「ああ……、でもありがとな、結構助かった……かも」
「うん! またなんかあったら声かけてね!」
冬乃はそう言って、友達のところに戻っていった。
やっぱ変なもの渡すより、冬乃が言ったようなことをしてやればいいのかな……?
「やっぱり『康輝を1日使える券』はよいではないか! 冬乃もわかっておるな! ではクイズだ! 『大雅の寝言が作中で出たが、その寝言はなに?』。大雅の寝言……」
追記……、土曜日、絶対に投稿できません。本当にごめんなさい。




