第160話 新学期が始まった
「前回のクイズの答えは『海波』だ!」
新学期が始まった。
久しぶりの学校、ちょっとだけだるかった。
しかも寒い。
学校は授業がなかった。
なんか色々と話をされた。
校長とか前崎先生とかから。
だから結構早く終わった。
「お兄ちゃんってさ、どっちに行くか考えた?」
帰り道、水麗が訊いてきた。
今は俺と水麗しかいない。
「なにを?」
「理系か……、文系か……」
文理選択か……。
「全然考えてない。ってか、そもそも大学行くつもりなかったからな」
「行くつもりなかったんだ……」
だって大学って結構金かかるよね?
そんなに金に余裕なかったから……。
それに、本当は中卒も覚悟してたし。
中学校は義務教育だからそんに金かからないし。
でも母さんが『高校くらいは行きなさいよ!』ってうるさかったから高校に行った。
「……ってか、急にどうした? なんで今そんなこと訊くんだよ?」
「いや、お兄ちゃんはどっちかなーって」
「お前はもう考えてるのか?」
「まぁ……、ちょっとだけだけど。文系にしよっかな……」
文系か。
いいと思うけどな。
「美月ちゃんたちはどうるのかな?」
「さぁ?」
美月か……。
生物分野に進みそうだけどな、あいつは。
「……! そういえばお昼ご飯! 何も買ってない……」
ああ、そうだ。
今日昼飯家じゃん。
いつも学食だからな……。
「今から買いに行く……?」
「いや、これあるから一緒に行こうぜ」
俺はポケットから1枚の紙を出す。
「――いらっしゃ……って、康輝くん!?」
ドアを開けた瞬間、ラーメンとかの匂いがきた。
そしてめっちゃ忙しそうな冬乃がこっちを向く。
本当に忙しそうだな……。
今学校から帰ってきたばっかりだよね?
着替えるの早くない?
店はまあまあ混んでる。
でも待たなくてよさそうだ。
「な、何名様で……すか……?」
「二人」
「で、ではこちらにどうぞ……」
冬乃が俺たちを案内してくれる。
「こちらのお席でよろしいでしょうか……?」
「ああ」
「では……、ご注文がお決まりになられましたらお呼びください……」
さてと、新メニューって何かな?
メニュー表を広げてみる。
真ん中に『桃ラーメン』ってやつがある。
……『桃ラーメン』?
ラーメンに果物……?
食ってみた結界、意外と美味かった。
あと、よくこんなメニュー思いついたな……。
しかも、『桃ラーメン』ってどっかで聞いたことある気がする……。
ま、いいや。
美味かったんだし。
「とうとう始まった! 新学期! そろそろ1年生も終わりだ! ではクイズだ! 『皆嘉の義理の妹は、海波、という名前だが、その名前の読み方は?』。これはわかる者、おるか?」




