第144話 皆嘉の義妹
「前回のクイズの答えは『③』だ!」
俺たちの仕事が終わった。
委員長、大興奮。
委員長の興奮シーンは思い出したくないから、思い出さないようにしよう。
「お兄ちゃんお疲れ様!」
教室から出ると、早速水麗が言ってきた。
俺の隣には皆嘉がいる。
大雅と白斗は俺たちと入れ替わるかたちで、教室の中に入っていった。
「ああ、お疲れ」
「最後の方さ、美月ちゃんと冬乃ちゃんが来てさ。挨拶しようとしたんだけど、美月ちゃんがいきなり撃ってきてさ、倒れなきゃいけなかったんだよね。それで結局挨拶できなかった……」
「俺はめっちゃ会話したぞ? なんか『仕事できるな』って言われた・皆嘉は?」
「俺は……、なんか『楽になっていいぞ』って言われた」
すごいな……。
流石美月と冬乃。
「お腹空いたし、先なんか食べようよ」
「模擬店どこにあったけ?」
「確か三階の――」
「唐揚げ、美味しかったよ」
皆嘉が言ってる最中に、女の声が後ろから声が聞こえた。
ほぼ同時に、俺と水麗と皆嘉が振り向く。
そこには見知らぬ女がいた。
俺たちと同じくらいの年齢っぽい。
「! 海波……」
皆嘉がなんかつぶやく。
ミナミ?
「お兄ちゃん、はい、これ」
女は、皆嘉に水筒を差し出す。
……この女、誰?
皆嘉のこと『お兄ちゃん』って言った?
ってことは――
「皆嘉……まさかお前の……」
「ああ、義妹だ」
やっぱり。
「え、み、皆嘉の妹……?」
水麗は結構驚いてる。
「あ、はい。新坂海波です」
皆嘉に水筒を渡した女が言う。
「『海』に『波』って書いて『ミナミ』って言います。よろしくお願いします」
『海』に『波』って書いて『ミナミ』か……。
いい名前だな……。
「久しぶりですね」
海波さんは、水筒を飲み終わった皆嘉から水筒をもらって、俺に言ってきた。
久しぶり?
「……海波、お前と会った記憶、ないみたいだぞ?」
「えっ! 二回も会ったのに!?」
二回も会った記憶ないぞ?
「夏祭りと、二学期始まってすぐに会ったじゃないですか!」
会った?
……! 思い出した!
二学期始まってすぐに会った!
皆嘉の家の前で!
でも夏祭りに会ったっけ?
「……覚えてないみたいですね」
「影薄いみたいだな」
「はぁ? 皆嘉の方が影薄いし!」
「俺は悪い意味で目立つし」
「……ちょっと待って。悪い意味ってどういうこと?」
いじめだな。
確かにあの頃は悪い意味で目立ってた。
「もしかして、いじめ?」
おお、海波さん鋭い!
ってかよくわかったな。
「……いじめたやつの名前教えて。できればどこに住んでるかも」
「お、教えたところで何するつもりだ……?」
「本気でいじめる」
あ、海波さん、意外とヤバイやつだ。
「ほほう……、海波というのか……。よい名前だな! ではクイズだ! 『皆嘉の義妹――海波が初めて登場したのは第何話?』。うん、だいぶ昔だな」




