第141話 リハーサル?
「前回のクイズの答えは『康輝』だ!」
「よし! いいですよ!」
まためっちゃ興奮してる委員長。
俺は真っ黒なビニール袋を身体に巻いている。
そして数人が変な服着てる。
着物を着ているやつ、真っ黒な服にところどころ赤い絵の具がついた服着てるやつ。
俺は何をやらされてるんだ?
「これで文化祭の準備はできました! さ! これが台本です! この通りにしてください! 私がお客様役です!」
委員長はそう言って、教室の電気を消した。
そしてドアをが開いた。
多分廊下に出たのだろう。
なんか教室が迷路みたいになってる。
段ボールで壁つくってうねうねした道になってて、窓も暗幕みたいなやつをつけられてて外の光が入ってこない。
そして俺は、教室の真ん中ら辺の段ボールの隙間に隠れている。
近くにはところどころに赤い絵の具がついた白衣を着ている皆嘉。
皆嘉しかいない。
「なぁ、皆嘉。俺たち何やらされてるの?」
「文化祭のお化け屋敷のリハーサルみたいなやつ」
「……俺、お化け役なんだ」
「男子の大半がお化け役だ」
「やっぱりあの委員長、男子のこと恨んでるのか……?」
「かもね」
そんなに恨まれるんだ……。
しかも白斗だけを恨めばいいのに、なんで俺たちまで恨まれるんだろう。
「しかも、『台本読んでこの通りにしろ』って言われたけど、どこに台本なんてあるんだよ。渡されてねぇぞ?」
「ああ、これだ」
皆嘉が床に置いてある冊子を拾う。
でも暗くてよく見えない。
「えっと……、俺より康輝が先に出るんだな」
「いや、なんで読めるんだよ」
「? 読めないのか?」
「こんな暗いのに読めるのか?」
「ああ、逆に読めないのか?」
え、みんな読めるの?
暗い状態で。
皆嘉がすげぇのか、俺がヤバイのか。
「客がここら辺を通り過ぎたら康輝が出る。客は持ってる銃で、康輝を撃つ。康輝は倒れて、手に握っている弾を客に取らせる。そして俺が出るみたいだな」
「待て待て、銃ってなんだよ。俺撃たれるの?」
「おもちゃらしい。これ、握っとけだって」
皆嘉が俺に何か細いものを渡す。
おもちゃの銃の弾らしい。
「! そろそろ来るぞ。準備しとけ」
皆嘉が小声でそう言う。
確かに、懐中電灯とおもちゃの銃委員長が目の前を通っていた。
よし、やりますか。
この委員長、男子のこと散々にしてくれたから、ちょっと怖がらせてやろう。
俺は音を立てないように段ボールの隙間から出て、委員長に近づく。
デスボイスで叫んでやろー
「――! そこですね!」
委員長が突然振り向いて、俺に向かって撃ってくる。
弾が顔に当たる。
全然痛くない。
でもここで死んだふりしないとあとで何か言われるんだろうな……。
俺は嫌だったけど、倒れてあげた。
委員長は俺の手から弾を奪う。
……いつ動いていいんだ?
「おお! なんか楽しそうなことやっておるな! お化け屋敷か! ホラーはよいよな! ではクイズだ! 『みんなでショッピングモールに行ったのは何曜日?』。うん、考えればわかるな」




