第139話 水麗だけ残された
「前回のクイズの答えは『遊園地に行こう! 〜前〜』だ! うん、遊園地だな!」
「あ゙ー、やっと終わったー!」
水麗がうんざりした表情で教室から出てくる。
めっちゃ疲れてそう。
今日は委員長に残されなかった。
水麗以外は。
水麗が昨日考えてくれたお化け屋敷のストーリーを委員長に見せたら、委員長が興奮しちゃって『詳しく教えて下さい!』とか言って、水麗を残した。
「お疲れ様」
「あ、お待たせ……。ありがとう、待っててくれて」
「ああ、みんな待ってるぜ」
俺は後ろを親指で差す。
そこには大雅、皆嘉、白斗、冬乃がいた。
「あれ? 美月ちゃんは?」
「美月は今日休みだ」
「風邪?」
「いや……」
美月が休んだ理由。
多分俺しか知らない。
メールで俺にだけ教えてくれた。
今日早速、声優のやつでなんかするらしい。
結局やることにしたんだな、声優。
まぁ、それも楽しそうだしいいと思うけど。
「本当、アイツ何やってんだろうな」
大雅が二組の教室を見て言う。
「なんかあったのか?」
「いや、アイツが今日休みだから部活休みになった」
あ、そうなんだ。
美月って陸上部のマネージャーだった。
マネージャーがいないだけで休みなんだ、部活。
将棋部にマネージャーはいないからわからないな……。
「陸上部はマネージャーいないとできないのか?」
俺の思ってることを皆嘉が訊いてくれる。
「いや、陸上部さ、美月のおかげで成り立ってるんだ。美月が全部管理してくれてたから、アイツがいないだけで、部員みんな何すればいいかわかんない状態になってんだ」
意外と役に立ってるんだな、美月。
そもそもマネージャーの役割がわからない。
『Rira』さんなら知ってるかな?
なんか普段からマネージャーさんが近くにいそう。
……あれってマネージャーっていうのかな?
ってか『Riraさん』じゃなくて『ひなたさん』って言ったほうがいいかな?
どっちが本名かわかんないけど。
みんなに訊いてみよ。
「なぁみんな、『石川ひなた』って知ってる?」
「え? あの女優さん?」
冬乃の反応、完全に知ってるな。
まぁ、『ひなた』さんも冬乃のとこのラーメン屋行ってるくらいだし、話したことくらいはあるのかな?
しかも体育祭で会ってたし。
「白斗は知ってるのか?」
「ああ、逆に知らない人、いるのか?」
はい、ここにいました。
この間まで知りませんでした。
「大雅は? 皆嘉は?」
「あ? 俺? 知ってるに決まってるだろ」
「義妹が好きだからな、その女優」
あ、お二人ともご存知な感じで……。
あの大雅も知ってるくらいなんだ……。
ってか皆嘉、『義妹が好き』って言ったな……。
皆嘉の義理の妹にも会ってみたいな。
「我がいない間にこんなことに……。うん、それくらいしか感想がない。……クイズか……。ネタが思いつかない……。……じゃあクイズ! 『この物語で、一番多い名前のイニシャルは?』。アルファベットで答えてくれ!」




