表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
138/352

第138話 お化け屋敷のネタを

「前回のクイズの答えは『キャバ嬢の名刺』だ! 高校生になんてものを……」

 「で、どんな感じにする?」


 俺の部屋でノートを広げる水麗。


 今は午後八時。

 委員長に言われた通り、なんか色々しなきゃいけない。


 「『どんな感じ』って……。俺は全然思いつかないぞ?」

 「まずは場面を考えなきゃね。廃病院とか、学校とか。神社とかもいいんじゃない? 村全体が幽霊であふれてるっていうのもありだよね」

 「よくそんな思いつくな」 

 「こういうの好きだから」


 こいつ、こういうの好きだったのか……。


 水麗の意外な一面を知れた。

 でもそんな驚いてない。


 最近驚きすぎて、このくらいじゃ驚かなくなった。


 やっぱ一番驚いたのは美月の声優の話だな。

 アイツ、どうすることにしたんだろう……。


 「――どれがいいと思う?」


 水麗が訊いてくる。

 ヤバイ、全然聞いてなかった。


 「ごめん、もう一回言って」

 「『場面はどれがいい?』って聞いたんだけど……」

 「あ、場面か……」


 水麗のノートには色々書かれてる。

 『廃病院』とか『工場』とか。


 「せっかくだからマジで怖いのがいいよな」

 「じゃあ廃病院でいいんじゃない?」

 「そうだな。……ってか、お前ホラー苦手なんだろ? よくこんなん考えられるな」

 「めっちゃ我慢してるよ」


 あ、我慢してるんだ。

 でも水麗なら『ヤダ! 怖い!』とか言いそうだけどな……。


 「それに一回やってみたかったんだ。お化け役」

 「そ、そうなんだ……」

 「いっつも私ってお化け屋敷とかで怖がってるじゃん? だから今度は怖がらせたいんだよね」


 水麗の顔が変わってくる。

 『笑い』が『(わら)い』になってきてる。


 冗談抜きで結構怖い。


 「み、水麗……?」

 「! ヤバイ……。考え事してた……」

 「あ、ああ……。結構怖かったぞ?」

 「まぁ、そんなときもある! うん! じゃあ次! ストーリー!」


 そんなときもあるんだ。

 

 「ストーリー、私考えたんだけどそれでいい?」

 「ああ、特に思いつかないし。どんなストーリーにしたんだ?」

 「昔、『そこに入院した患者は必ず死ぬ』って噂がある病院があったの。もちろんそれら噂だから本当じゃない。でもそれを信じた人たちはその病院に通うのをやめたの。そのせいで病院は儲からなくなって、最終的に倒産。それで院長はお金がなくなって、家族で心中したの」


 うん、よく思いついたな、こんなの。

 今の一瞬で思いついたの?


 これはもう才能だ。


 「それで、その病院には院長の家族の幽霊がうろついてるの」

 「よく思いついたな」

 「得意から。これで終わったね」

 「お前のおかげで一瞬で終わった。ありがとな」

 「うん、細かいところは私がやっとくね」


 水麗はノートを閉じ、俺の部屋から出ていった。


 五分もかからなかったな……。

「水麗、よくこんなもの思いつくな。ホラーが苦手だと思っていたが……。ではクイズだ! 『第23話のタイトルは?』。……これくらいしか思いつかない……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ