第128話 夕飯買い忘れた
「前回のクイズの答えは『①』だ! 康輝が皆嘉にロッカーの前で殴られて、その次に大雅と教科書運んで、美月――我が縛られて、終わり!」
「……! 忘れた!」
冷蔵庫を開けてなんか大声を出してる。
「どうした?」
「夕飯買い忘れた!」
あらら、結構大変。
今から買いに行くのもあれだし、外食かな?
もう七時半だし。
母さんも父さんもしばらく帰ってこないし。
「……お兄ちゃん、外食する?」
「ああ、それしかないしな。どこにする?」
「じゃあ――」
「お、結構混んでる!」
俺たちはとあるラーメン屋の前まで来た。
意外と混んでる。
……『意外』って言っちゃダメだな。
結構混んでる。
でもすごいよな、アイツの店、人気なんて。
俺たちは数分待った後、名前を呼ばれた。
アイツの声だ。
「って、康輝くん!?」
俺の顔を見た瞬間、冬乃が目を見開く。
「来たぞー」
「え、なんで!?」
「ラーメン食いたいから」
「え……、じゃ、じゃあこちらへどうぞ……」
冬乃はスタスタと歩いていく。
地味に速歩きだ。
席は普通にテーブル席。
「じゃあ……、ご注文がお決まりになりましたらブザーでお呼びください……」
冬乃はそう言い残して去っていった。
さてと、何にしよっかな……。
「あ、新しいメニュー増えてる!」
水麗が早速メニューを見てる。
新しいメニューか……。
俺もメニュー表をとる。
『超辛味噌ラーメン』ってやつが増えてる。
普通の『辛味噌ラーメン』はもともとあったけど、『超』がつくとどれくらい辛くなるんだろう……。
「じゃ、私は野菜ラーメンにしよっかな……」
「俺は担々麺でいっか。じゃ、押すぞ?」
「うん、お願い」
俺はテーブルの隅にあるボタン式のブザーを押す。
しばらくすると紙とペンを持った冬乃が来た。
「冬乃ちゃん! 私野菜ラーメンで!」
「俺は担々麺」
「はい。ご注文を確認させていただきます。野菜ラーメンがお一つ、担々麺がお一つでお間違いないでしょうか」
「ああ」
「少々お待ち下さい……」
冬乃は慣れた手つきで紙に何かを書き、カウンターの方へ行った。
「冬乃ちゃんって結構元気なイメージあったけど、そうでもないんだね」
「まぁ、客に『ご注文は? あ、これオススメですよ!』とか言えないからな」
もともと冬乃はああいう性格な気がするけど。
実は最初から思ってたんだよな、『あの元気な性格が冬乃の本当の性格なのか?』って。
俺とおんなじ感じだったもん。
やっぱりみんな、無理してんだな……。
「? お兄ちゃん?」
水麗の声で我に返る。
「あ、ああ……なんだ?」
「お兄ちゃんが多いよね、なんかボーッとしてるの」
「まぁ……な」
ボーッとしてる、か……。
誰のせいだろうな、ボーッとしてるのは。
「なんか最近冬乃の登場多くないか!? そして我の登場少なくないか!? 作者は我より冬乃の方が好きなのか!? ……こんなグチ言ってもなんも起こらないか。まぁ、冬乃も結構いい味だしてるからな。意外と深い裏がありそうだもんな……。それよりクイズだ! 『康輝は作中で一回だけ料理をした。何を料理した?』。料理もできるのか、康輝は! 追記、火曜日は投稿が難しそうだ。本当にすまぬ」




