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第123話 防犯カメラで

「前回のクイズの答えは『緑色』だ!」

 「――康輝!」


 本部で自分の荷物をまとめてたら、前崎先生が話しかけてきた。

 美月と冬乃葉もう荷物をまとめ終えてて、どっかにいる。


 「ちょっと話があるんだが……」

 「はい……」

 「少しの間だけ、防犯カメラを見張っててくれないか?」


 ……は?


 「ちょっと先生たちに急用ができてな。その間に防犯カメラで生徒たちを見張っててくれ」

 「見張るって……。それって生徒である俺に頼んでいいんですか……?」

 「ああ、結構ふざけるやつもいるんだよな、観客席で遊んでるやつ。じゃ、頼んだ! そのパソコンで見れるから!」


 先生はそう言い残し、どこかへ行った。

 パソコンって……、あ、あれか。


 机の上にあった。


 白黒の画面……。


 俺はマウスを一回クリックする。

 すると、画面が変わった。


 一回クリックするとカメラが変わるのか……。

 面白いな、これ。


 俺は何度かクリックする。


 独りで熱唱してるやつ、カメラに向かって中指を立ててるやつ、変顔してるやつ、色々いる。


 マジで面白い。


 次は何かな……?


 俺はクリックする。


 お、今度は数人の女子生徒が集まってる!

 面白そうだ――


 ――って、冬乃……?


 『―――ちゃ――か――ったね――』


 冬乃が何か喋ってる。

 防犯カメラって声まで聞こえるんだ……。


 俺は音量を上げる。

 すると、今度はちゃんと聞こえた。


 『いや――盛り上がったね!』

 『…………』


 冬乃がいつも通り元気に言う。

 一方、相手たちは下を見ている。

 そして震えていた。


 怒ってる……?


 『? みんなどうしたの?』

 『――んで――』


 一人の女子生徒が言う。

 聞き取れなかった……。


 『? 何?』


 冬乃も聞こえなかったみたいで、女子生徒に訊く。

 そして女子生徒は今田は大きい声で言った。


 『なんでよ! なんでそんなヘラヘラしてられるの! 負けたんだよ! みんなで力合わせて絶対優勝するって誓ったのに負けたんだよ!』


 女子生徒の言葉で、冬乃の顔から笑みが消える。


 『だからだよ! そんないつもヘラヘラしてるからだよ! メリハリつけてよ! 冬乃がいなかったら絶対勝てたのに!』


 女子生徒はそう言って、走り去った。

 冬乃以外の女子生徒も、その女子生徒を追った。


 冬乃……。


 『――私だって――』


 冬乃が喋る。

 よく見ると、冬乃の目から涙が出ていた。


 『――ヘラヘラしたくて……、いつもヘラヘラしてるわけじゃないよ……』


 冬乃は力のない声でそう言う。


 そして、走り去っていった女子生徒と反対の方向に歩いていった。


 こんなに元気がない冬乃……、初めて見た……。

「冬乃……とうとうお主も意味深な言葉を……。こうなると、意味深なことを言ってないの我だけではないか……? そんなことはどうでもいい! ではクイズだ! 『康輝が初めて美月の家に行ったとき、康輝は何時くらいに美月の家から出た?』。覚えてる者、おるか……?」

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