第120話 白斗、敗北
「前回のクイズの答えは『○』だ!」
「白斗……」
「戦闘中に他のことを考えていたのか? よくないな」
白斗は俺に顔を見せないまま外野まで歩いていった。
でも、『悲しい』や『悔しい』といった感情は感じない。
むしろ、『これでいい』って感じがする。
「康輝、これ」
大雅が俺にボールを投げ渡す。
ヤバイ……俺のせいで白斗がやられちまった……。
大事な戦力なのに……。
「康輝、あまり気にしなくていいと思う」
皆嘉が俺の隣に来て言う。
無駄に近すぎる気がする。
「白斗は自分の意思で当たりにいってた。白斗がそうするってことは、康輝をまもるのに理由があるんだと思う」
「そうか……? そうは見えねぇけど……」
「信じろ。戦いで仲間を信じなくてどうする」
……確かに……。
でも、結構罪悪感が……。
「そうだぜ、康輝! 戦いは楽しめ!」
大雅が俺の肩に手を乗せる。
戦いは楽しむものじゃないと思うけど……。
……俺が言えることじゃないか。
「……わかった、ありがとな。ちょっとやる気でた」
俺は二人にそう言って、石本先輩ではない敵に向けてボールを投げた。
その敵はボールをキャッチしようとするが、その前に石本先輩が出て俺のボールをキャッチする。
どこにでも出てくるな……石本先輩……。
それより、敵は残り二人だ。
こっちは三人だけど。
でも油断はできない。
石本先輩が俺に向かってボールを投げてくる。
俺はそれをキャッチしようとするが、俺の手に触れた瞬間、ボールが上に跳ぶ。
ヤバイ……このまま落ちたら俺が死ぬ……。
俺は跳躍し、ボールをキャッチする。
さてと、どうやって敵に当てるか……。
あの縄で引っ張る作戦はもう通用しないと思うし……。
かといって他の方法は思いつかないし……。
ボールが二つ以上あれば楽なんだけど。
それより、まだ腕が地味に痛い。
「大雅、お前が投げてくれ」
「え、俺?」
「ああ、皆嘉でもいい。ちょっと腕が痛くて……。少しだけ休ませてくれ」
「わかった」
俺は大雅にボールを投げ渡す。
大雅はそれを掴み、敵に投げる。
石本先輩がそのボールをキャッチする。
いつも通りだな……。
石本先輩を疲れさればいいのかな……?
でも、どうやって疲れさせるんだ……?
こっちの体力が先になくなるか、石本先輩の体力がなくなるか、どっちが先なんだろう……。
それがわからないと、ちょっと困るな……。
石本先輩は皆嘉に向かって投げる。
いつもと同じくらいのスピードだ。
でも、皆嘉はそのボールを躱そうとしない。
そして、皆嘉はボールに当たった。
「白斗……お主、意外とすぐ当たったな……。もう少し活躍を見たかったぞ……。ではクイズだ! 『水麗はナンパされたことある?』。水麗がナンパされるのか……?」




