第116話 いよいよ『ドッジボールもどき』
「前回のクイズの答えは『二千円』だ!」
いよいよ次が『ドッジボールもどき』。
最後の競技だ。
ここまではいいんだよ。
……色々と言う前に、一応『ドッジボールもどき』のルール説明会するね。
『ドッジボールもどき』ってのは、ドッジボールの変わったやつ。
内野が四人だけしかいない。
……このルールの説明ってもうしたっけ?
まぁ、いいや。
……で、その四人っていうのは俺、大雅、皆嘉、白斗の四人。
最悪だよ……。
ちなみに『ドッジボールもどき』っていうのは一年生だけの競技じゃない。
基本、どの団も三年生がやる。
だけど赤団だけ一年生。
おかしいよね……?
「何やってんだー! 早く行くぞー!」
向こうで大雅が叫んでる。
なんでそんな張り切ってんだよ……。
「あ、康輝くんなんだ! ……って、白斗たちもいるじゃん!」
「これは赤団の勝利だな……」
美月と冬乃が肩をすくめる。
なんかかわいそうだから、何も言わないでおこう。
俺は二人をおいて走った。
「ったく、遅ぇよ」
「悪い……。そういえば、相手って誰だ?」
「青団と黄団が協力するらしいぞ」
皆嘉の言葉に、俺の動きが止まる。
でも大雅、白斗はなんともない顔をしている。
「ちょ、なんでそうなるの!?」
「青団と黄団が『これじゃあ赤団に勝てない』って結論になったらしい。それで同盟を組むことにしたらしい」
それってありなの……?
「……ちなみに、一試合しかしないことになった。つまり一発勝負だな」
白斗は相変わらずの口調で言う。
一発勝負か……。
まぁ、そっちの方が好きだけど。
「……で、相手はどんな――」
「あ、キミたち?」
俺が言っていたとき、後ろから男の高い声がする。
振り向くと、身長が結構低い男子生徒がいた。
百五十センチくらいで……かわいい系の男子だな……。
「やっほー! 俺は三年の石本。『ドッジボールもどき』に参加するのはキミたちって聞いたんだけど、合ってる?」
こいつか……対戦相手……。
喧嘩で有利そうな身体してるな……。
「ま、挨拶にきただけ。お互い頑張ろうね!」
石本とかいう先輩は俺の肩に手を乗せ、どこかへ行く。
「なんだ、あいつ……。弱そうだな……」
石本先輩の背中を見ながら大雅はつぶやく。
「康輝もそう思うか?」
「……いや……。むしろ……強いと思う」
俺はありのままの感想を言う。
俺の返事に、三人ともかなり驚いている。
「はぁ? めっちゃ弱そうじゃん!」
「それは戦えばわかる。行くぞ」
俺もアリーナに向かった。
……意外と面白くなりそうだな……この試合……。
「これはもう赤団の勝利だろ……。石本とかいう者、どれくらい強いんだ……? そしてクイズだ! 『冬乃は係り決めのじゃんけんで何回連続負けた?』。これもかなり難しいな……」




