第115話 団対抗リレー
「前回のクイズの答えは『十一時』だ!」
笛の合図とともに、赤団、青団、黄団のそれぞれの生徒一人ずつが走り出す。
なぜかこれは二年生が走ってる。
普通一年生から走るよな……?
そしてなんか俺がアンカーになった。
これも普通三年生だよな……?
あんまり『普通』って言葉使いたくないけど。
「おーおー、あいつら遅ぇな」
俺の前にいる大雅が、走っている三人の生徒を眺めながら結構大きい声で言う。
「ちょっ、大雅……。聞こえたらヤバいって……」
大雅の前にいる皆嘉が心配そうな顔をする。
そして、皆嘉の前にいる白斗はメガネを外す。
なぜか一年生が最後の方に走ることになっている。
「聞こえても大丈夫だろ。遅い方が悪いんだし。なんなら喧嘩するし」
「だから……、ってか、康輝も止めろよ」
悪い、皆嘉。
もう俺に大雅は止められない。
唯一止められそうなのは……美月か……?
あいつなら『大雅! お主さっきからうるさいぞ!』とか言って大雅を黙らせそう……。
それにしても、この時間暇だな……。
何しよう……。
ボーッとするか!
「――き! 康輝!」
なんか大雅が叫んでる。
「無視すんじゃねぇよ!」
なんか怒鳴ってる。
って、気づいたら白斗はもう走り終わってるし……。
皆嘉は今走ってる。
でもそんなに本気出してなさそう。
「……あ、で、なんだ?」
「ラーメン奢れって言ってんだけど、もういい!」
ええ……そんな怒る……?
なんかごめん……。
皆嘉からバトンを受け取り、走り出す大雅。
めっちゃ速い。
でも他の団、めっちゃ遅い。
そして大雅は容赦しない。
かわいそう……。
って、次俺じゃん。
アンカーって二周走るんだっけ?
そんなことを思いながら前に出る。
もう大雅が来た……。
俺は大雅からバトンを受け取り、走る。
そろそろ他の団と一周の差ができる。
みんな遅いな……。
つまんないから無心で走っていたら、気づいたらゴールしてた。
意外と盛り上がんないな……。
もっと接戦かと思ったのに……。
まぁ、勝ったならいいや。
ってか次もあるじゃん……。
『ドッジボールもどき』とかいう意味わかんない競技。
名前からして意味わかんないじゃん。
「……次の競技……やる意味がないと思う」
白斗が唐突に喋る。
こいつが急に喋ると結構びっくりするな……。
「やるまでもない。赤団が勝つ」
白斗?
「ああ、そうだな! 絶対俺らが勝つ!」
大雅?
「康輝がいる時点でこっちの勝ちだな」
皆嘉……?
お前ら……それ……『死亡フラグ』だよな……?
なんか嫌な予感しかしない……。
「さすが康輝……。余裕で勝ってるな……。ではクイズだ! 『体育祭の演劇の小道具として使う刀、二本で何円?』。まぁまぁ高いな……」




