第114話 『団対抗リレー』の準備
「前回のクイズの答えは『二十三』だ!」
次は『団対抗リレー』。
もうそろそろ終わりだ。
この前にも何個か競技があったんだけど、なぜかカットされた。
これも校長の判断らしい。
本当に校長は何考えてんだ……?
「団対抗リレーか……。そういえば、康輝くんも出るんだよね?」
そう、なぜか俺も選ばれてしまった。
一年生の赤団で選ばれたのは俺、大雅、皆嘉、そして白斗の四人だ。
これも赤団が勝ちそう……。
「じゃ、行ってくる」
俺は美月と冬乃にそう言って、アリーナに向かう。
すでに数人の生徒が集まっていた。
その中に皆嘉と白斗がいる。
「? 大雅はどうした?」
「なんか準備運動するって言ってたけど……」
「バカの考えることはよくわからないな」
白斗はメガネを一度外し、辺りを見渡す。
準備運動って……。
今からする必要あるか……?
「あ! 康輝! やっと見つけた!」
大雅の声がして、誰かが俺の肩を後ろから叩く。
後ろには大雅がいた。
いつ俺の後ろに来た……?
「大雅……準備運動は終わりか?」
「準備運動しようと思ったけど、肝心の康輝がいなかったからできなかった」
「なんで俺が必要なんだよ……」
「準備運動といったら殴り合いに決まってるだろ!」
本当に喧嘩バカだな……こいつは……。
「やめとけ。怪我してんだろ?」
「これくらい大丈夫だ」
「あのな、まだ競技が残ってるんだ。それでお前が失敗したら色々な人に怒られるんだぞ?」
「……仕方ねぇな……」
よし、大雅を説得できた!
なんか嬉しい!
「おい! 一年!」
前からやたら図体のデカイ男子生徒が来た。
「早く並べよ。こっちは待ってるんだよ。一年のくせに生意気だな」
うわー……こいつ、後輩のことを下に見るやつだ……。
「あ? じゃあ殴り合いでもするか?」
ヤバい……大雅が喧嘩売ってる……。
このままじゃ、この先輩が死ぬ……。
「面白いやつだな。俺に喧嘩売るとか」
どうしよう……先輩もヤル気だ……。
「あーあ、頭が悪い人たちは本当に変な会話をするね」
白斗がニヤリと笑って、独り言とも受け取れる言葉を言う。
「さっさと、殴り合ってくれよ。僕は早く見たいんだ、君たちが殴り合ってるところを」
白斗の言葉を合図に、先輩は大雅に殴りかかる。
遅い……遅すぎる……。
大雅は先輩の拳を躱し、先輩の背中を見る。
あーあ、先輩の負けだー。
「なーんだ、めっちゃ弱いじゃん」
大雅はため息をついて、先輩の背中を押す。
先輩が地面に倒れる前に、皆嘉が片手で先輩を支える。
先輩の顔は真っ青だ。
本当に毎回思う。
喧嘩ですぐに殴りかかるとかバカすぎるだろ……。
「やはり大雅は喧嘩バカだな……。陸上部のマネージャーとして困る……。ではクイズだ! 『水麗はいつも何時に寝ている?』。これも難しいな……。




