第105話 地獄のパン食い競走
「前回のクイズの答えは『第19話』だ! 結構昔だな……」
「よーし、開会式も終わったことだし、頑張りますか!」
開会式が終わった。
その開会式はめっちゃつまらなかったからカットした。
校長が変なこと言ってた気がするけど、特に覚えていない。
確かどうでもいい話だった。
『校長、今日も絶好調です!』とか言ってた。
このダジャレに誰も笑ってなかったけど。
「最初なんだっけ?」
「二年生の『地獄のパン食い競走』だ。我等も来年にやるのか……」
なんだよ、『地獄のパン食い競走』って。
普通のパン食い競争じゃないの?
「次は康輝くんの番だね。頑張れ!」
「え、俺……?」
「普通そうだな。ほら、二年生を呼べ」
ええ……。
確かに順番的には俺だけど……。
俺は渋々マイクに口を近づける。
『次の競技の準備をしていますので、しばらくお待ちください。二年生の皆さんはアリーナに降りてきてください』
……あー、毎回緊張するな……。
こういうのって慣れないんだよな……。
『地獄のパン食い競走』というのは、五十メートルを全力で走ったあと、吊るしてあるパンを口で掴んで食べるという競技だ。
でもパンの中身は全部同じではない。
クリームのやつもあるし、ピーナッツクリームのやつもある。
味は誰にもわからない。
中には酸っぱいやつもあるし、辛いやつもある。
よくこんな競技思いついたな……。
二年生が頑張ってる。
なんか……言っちゃいけないけど……、みんな必死にパンくわえてるから面白い。
結果は青団の勝利。
黄団は青団と接戦だった。
赤団はヤバい。
めっちゃ負けてる。
『こいつふざけてる?』って思うくらいひどい。
「……赤団……弱いね……」
冬乃が口を半開きにしながら言う。
美月は笑いを堪えている。
赤団……弱すぎるだろ……。
ヤバい……今年の体育祭勝てるかな……?
「次は私たちだよね? 大玉送りだった気がする」
大玉送りか……。
大雅と皆嘉が無双したやつ。
「……? 俺らが次だろ? じゃあ放送は誰がやるんだよ?」
「俺がやるから安心しろ!」
後ろから聞き覚えがある声。
前崎先生だ。
「前崎先生……」
「俺が最高のイケボを出してやるからな! お前ら、よく聞いてろよ!」
……先生……。
イケボ出すの……?
「さ、行って来い! 革命を起こせよ!」
なんだよ……革命って……。
「はーい! 行ってきます!」
冬乃が元気よくアリーナに行く。
よくあんな元気になれるな……。
「大雅や皆嘉が無双するんだろ?」
美月がさりげなく俺に訊く。
「ああ」
「そうか、それは楽しみだな」
そんな……?
見てもなんも面白くないと思うんだけど……。
美月は俺の前を歩いた。
「地獄のパン食い競走……いつか我等もするのか……嫌だな……。ではクイズだ……。『皆嘉の妹らしき者が持っていた過去問題集はどこの学校のもの?』。覚えておるか?」




