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第101話 ナンパ男、撃退

「前回のクイズの答えは『新しい妹』だ!」

 「さてと……ちょっと暴れるか」


 男は腕組みをして言った。

 似合わない言葉だな……。


 そういうのは大雅みたいなやつが言うんだよ……。


 「覚悟しろよ、兄ちゃん」

 「お前らさ、そういう言葉もういいから。早く殴りかかってくんないかな? こっちは暇なんだけど」


 俺の言葉に敵は少し表情を変える。

 この程度の言葉で表情を変えるのか……。


 よっぽど雑魚なんだろうな……。


 「ウゼェんだよ! 死ね!」


 男の一人が殴りかかる。

 いやいや、殺しちゃまずいでしょ。


 警察に追われるぞ……?


 やっぱりこいつらってバカなんだな。


 俺は男の拳を躱し、その男のみぞおちを押す。


 本気で殴ったら流石に死にそうだから、敢えて軽く押した。

 でもこの攻撃で相手はめっちゃ苦しんでる。


 この程度で苦しむのか……。


 「テメェ!」


 もう一人の男が俺に向かう。

 手にはポケットナイフ。


 美月を思い出す……。

 いや、思い出してる場合じゃないな。


 さてと、どうやってこいつを倒そっかな……?

 みぞおちはもう飽きたし、今度は(すね)を蹴るか。


 俺はポケットナイフを躱し、その男の脛を軽く蹴る。

 その男は予想通り苦しむ。


 これで全員の動きはとめられたな。

 あとはどうやって痛い目を見せよっかな……。







 『康輝……ダメだよ……そんなの……』






 ……わかってるよ、芽依。


 「水麗、帰るぞ」

 「え、あ、うん……」


 水麗は倒れて苦しんでる男たちをチラチラ見ながら俺に向かう。

 俺はそれを目の端で確認しながら家の方向に進んだ。


 「……ああ、テメェらのこと、銃刀法違反で警察に訴えとくから。すぐそこにパトカーもあるし」


 俺は倒れている男たちに言い残す。

 ま、全部嘘だけど。


 すぐそこにパトカーなんてないし、警察に言うつもりもないし。

 だって面倒くさいことになるじゃん。







 「……お兄ちゃん……さっきはありがとうね……」


 家の中に入った瞬間、水麗がやっと口を開ける。

 これまで水麗は何も言葉を発さなかった。


 「あ、ああ……どういたしまして」

 「あの人たち、大丈夫かな?」

 「大丈夫だろ、もう大人なんだし」


 俺は荷物を自分の部屋に置き、手を洗う。

 あーあ、今日も疲れた。


 何しよっかな……勉強しよっかな……。

 そんな気にはなれないし……。


 明日のことでも考えるか。


 明日何が起こるんだろう……。

 大雅に喧嘩を売られる、冬乃に何か言われる。


 ……それくらいしか思いつかない……。

「康輝がヤクザを倒したぞ……! やっぱり康輝は最強だな……。ではクイズだ! 『美月が初めて康輝の前で普通の口調に戻ったのは?』。問題がわかりにくい……」

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