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妹、電脳世界の神になる〜転生して神に至る物語に巻き込まれた兄の話〜  作者: 宮比岩斗
4章 我が女神、それは

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終わる直前になって、なんにもしてないと気づくのが大型連休

 シオミンからコラボのお誘いを受けてから一週間が経った。


 妹の方はコラボ配信はすぐにでもやりましょうという意気込みであったが、向こうのスケジュールとの兼ね合いでしばらく待つことになったらしい。その間に簡単な台本を作って送ってくれるとのことだった。パッションだけで配信していた妹は「配信するのに台本……?」と初めて文明に触れた猿のような驚きに満ちた顔をしていた。


 その間、妹は何をして過ごすのかというと俺のアバター作成に力を入れるという。


 俺は頑固である。


 一度決めたことは曲げない。


 ゆえに妹が作ったチャラついたアバターなんぞに身をやつすつもりなんぞなかった。


 だが、シオミンに会えるならば話は別だ。


 アイドルオタクという生き物は身綺麗にせず握手会に出掛ける悪癖がある。だが俺は違う。こんな凡庸極まりないアバターなんぞ脱ぎ捨てて少しでも印象に残るアバターに乗り換えてやる。俺は身綺麗にする紳士なアイドルオタクなのだ。少しでも良い印象を稼いでお近づきになりたい下心ありきであるが、真心でもあるのだから文句を言われる筋合いはない。ファンクラブ会員は同士であり、抜け駆け禁止みたいな風潮はあるが知ったことではない。


 俺はシオミンのファンであり、ファンのお友達になったわけではないのだから。


 手の進みが早いのか、俺からの圧を感じたからか、アバター完成までの秒読み段階に入る。俺の意見はもとより聞く気はない妹は、お手製アバターお披露目会はゴールデンウィーク中頃に執り行うことを発表した。俺はその発表を妹のファンが呟いていたことで知ることになる。


 どうやら妹は配信直前まで俺にアバターを見せるつもりがないらしい。


「悪いようにはしないから!」


 そう言って秘密主義を貫かれた。


 妹は嘘はつかないが、それが真になるとは限らない。良いことをしたつもりが、有難迷惑になっていることは少なくないのだ。むしろ、記憶に鮮明に残るせいか有難迷惑の方が多いようにすら感じられる。不味い玉露を淹れられたのもその一つだ。


 非常に気掛かりではあるが、下手に探ってへそを曲げられ、コラボの話がなくなっても困るからお披露目会まで我慢することに決めた。


 明日からなんの予定もないゴールデンウィークが始まる。


 ふとここで気付く。


 新年度が始まってからずっと慌ただしかった私生活に余暇ができたことに。俺の余暇を潰していた妹はアバター制作、桜庭はエネミー対策で忙しい。つまり、俺の邪魔をするものはいないのだ。


 この大型連休を使って何をしよう。


 どこかに出掛けようか。


 それとも普段はできないことに専念するのも悪くはない。


 シオミンとのコラボに向けて自分磨きをするべきか。


 ひたすら惰眠を貪るというのも一考の余地がある。


 悩みは尽きない。


 なんでもできるはずのゴールデンウィークが始まる。

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