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妹、電脳世界の神になる〜転生して神に至る物語に巻き込まれた兄の話〜  作者: 宮比岩斗
4章 我が女神、それは

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社会人が心を癒すのに必要なもの

「ああ! もうやってらんない!」


 今朝方、我が妹が画面の中でコントローラーを地面に叩きつけた。非戦闘区域の電脳空間ゆえコントローラーが壊れるということはなかったけれど、物理演算はしているので低い音が響く。そのうえみっともなく地団駄を踏んだものだからやかましくて仕方ない。


 何故こんなにも切れ散らかしているのかというと、自業自得でしかない。


 昨日の夜から妹は、ゲームクリアするまで終われない耐久配信なるものを行っていた。


 そのゲームとは超高難度ゲームである。ストレスゲーとも言われ、操作性も悪ければ、一つのミスで積み上げてきたものをすべて失い最初からを強制されるゲームだ。セーブという初心者救済措置もない。配信者ぐらいしかやらず、一周回って神ゲーと呼ばれるぐらい見せ場しかないゲームだ。


 そんなゲームでクリアするまで終われない配信をするのは自殺行為でしかない。無論、ゲームクリアできれば感動のフィナーレを飾ることができる。だが、ゲームが下手くそな輩が挑戦することは単なる自殺志願者でしかない。そして、妹は自殺志願者だった。


 コメントが妹を煽り散らかす。一部では「もう終わっていいんだよ?」と優しく諭す声もあるがようだが、頭に血が登った妹は煽りコメントしか目に入らない。


「ぜーったいクリアしてやるから見ててよ。それまで君たちも配信見るの辞めたら承知しないからね!」


 そして、また最初から挑戦して中盤まで進んだ時に最初からになる。


 不毛な配信だった。


 朝のニュースで犬猫が出てくるほんわかニュースでも眺めていた方が心の平穏によさそうである。珍獣を眺めるという意味ではこの配信に軍配が挙がりそうだが。


 今しがたの失敗で心が折れたのか「集中力切れたので一度休憩しまーす」とその場で後ろに倒れた。


「あーっしんど! 何時間やったんだろ。うわ、もう朝じゃん。にーちゃん、そろそろ起きたかな」


 コメントに「二人とも実家住み?」と書かれた。


「そう、実家暮らしみたいなもん。てかにーちゃんで思い出したんだけど、そろそろにーちゃん専用アバター完成しそうだからみんな期待してて! できたらお披露目配信するから!」


 コメントに「お兄さんは量産型だからいいんだ!」というコメントに溢れかえる。


 お前らも量産型の良さに気付いてくれたのだと思うと涙がこぼれそうになる。


「そんなこと言って量産型使ってるにーちゃんを馬鹿にしたいだけでしょうが」


 それに対し大量のコメントが流れる。


「バレた」


「バレたか」


「それの何が悪いんだ?」


「馬鹿にするのは愛情表現だからしょうがない」


 配信を閉じ、朝のニュースをつける。


 ビビりなハスキー犬が番組スタッフにビビり散らかし炬燵の中に隠れるのは非常に可愛らしく心が癒された。

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