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妹、電脳世界の神になる〜転生して神に至る物語に巻き込まれた兄の話〜  作者: 宮比岩斗
2章 アンチもいれば信者もいる男

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一度ネタにされた者は擦られ続ける

 エネミーを撃退してから一週間が経った。


 その間、俺の周囲では目まぐるしい変化が起きていた。


 まずは桜庭。


 プロゲーマーとしてエネミーに関する会見を行うことになった。リアルの顔出しは一切行っていない奴ゆえ会見は電脳世界で行われた。プロゲーマーとしての活動はイケメンアバターを使用しているため、その方が見ている側もプロゲーマーが発言していると理解できるため都合がいいという面もあるのだろう。


 その反響は、えぐいの一言に尽きた。


 安全性が担保されていたはずの電脳世界で、正体不明で神出鬼没な化け物が現れると公式に発表された。加えて、その化け物に殺されると現実世界で記憶を失う。その量について質問もあった。平均は数日間ということで「大したことがない」と一瞬の安堵が会見会場に広まったが、補足としてほぼ全ての記憶を失った者もいると説明されたことで再びの緊張が走った。


 どう対処するのか、会見を見ていた者はみなそう思った。


 記者の一人が手を挙げる。


「先日あなたも参加されたとあるゲームの大会で、化け物を撃退していますよね? だとするならばそこまで脅威ではないのでは。協力すれば害獣駆除と変わらないと考えますが、いかがでしょうか」


 その質問に桜庭は答える。


「私のチーム、いえ私の友人が撃退に成功したのは事実です。協力すれば撃退すること自体は可能でしょう。ですが、それに伴う犠牲はどうするつもりでしょうか。我々はゲーマーです。軍人ではありません」


「トッププロとしての発言としては臆病風に吹かれていると感じてしまいますが、その認識で大丈夫でしょうか」


「現にオレは先日の戦いで化け物に返り討ちに遭い、記憶を失いました。幸い、数日分の記憶で済みましたが二度目、三度目もそうであるとはいえません。さらに言うならば、あの化け物はゲームシステムを改竄し、大会に介入してきました。本来ならば撃退されないようにもできたはずです。それをしなかった理由もわからない。そんな不明なことばかりの作戦に参加を要請することはオレにはできません」


「回答ありがとうございます」


 この質疑応答は反応が割れた。


 臆病風に吹かれているというものと、命を懸けても惜しくないぐらいの金をもらわないとやってられないというものだ。


 とにかく強いならば戦いに臨め、という意見はごく少数に留まった。


 その分突き上げを喰らったのが、国、インターネットサービス事業会社、ゲーム会社である。


 そもそも化け物を出させるな、記憶喪失の原因を探れ、という意見が主だった。


 それぞれ「調査中」ということで逃げ回っていたが、オカルト相手に調査もなにもないだろう。無論、オカルトめいたことは記者会見では発表されていないので仕方がないことではあるが。


 ちなみに桜庭に意地悪をした記者は、撃退に成功した俺と妹にインタビューしたいからこの場に連れてこいと無礼な要請をかましていた。


「どちらもプロではない一般人なのでご容赦ください。もっとも女性の方はもう配信でネタにする気でしたし、男性の方は量産型アバターを愛用しているので連れてきても本物だという証拠にならないでしょうね」


 会場は笑いに包まれた。


 俺は一人憤慨した。


 量産型の匿名性の高さが証明されたってことだろう、と。

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