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声明その2

「サクラバ氏、三刀氏以外の作戦参加者の行動の是非についてですが、こちらは現場が混乱の極みにあったことを考慮するとサクラバ氏に味方したことについては不問にします。また、混乱のさなかにいながら三刀氏に助力した方々は素晴らしい判断でした。この場を借りて感謝申し上げます」


 これは桜庭からの要請に沿ったものとなる。もとより外部から見れば仲間割れのように見えたそれには、どんな状況下であったのか周知されても批判の声があった。ゆえにここで政府が不問にするという声明を出すことで一旦の結末にするつもりだ。


 政府としても半ば強引に協力をさせておいて、問題が起きたら全て現場に押し付けるのは外聞が悪いのだろう。しかも作戦は全て放送されており、ほとんどの国民がその経緯を知っているときたもんだ。そりゃ強引にでも幕切れさせたいのが本音だろう。


 俺としてもあの状況下で、俺を助けてくれた人が批判されている状況には引け目を感じていた。これで批判が収まるのならこちらとしても願ったり叶ったりだ。


 もっとも妹をくれとのたまったあの野郎は、批判の中でも挫けず、むしろ批判してきた奴等を笑い者にする配信を行いファン層を増やしていた。アイツだけがこのフィーバータイムが終わることを悲しむのかもしれない。いや、まあうん、むしろヘイトを集めるだけ集めた陰の功労者なのだが、腑に落ちないものはある。


 俺と桜庭ともまた違う、別ベクトルで頭のおかしい奴に納得を求めるのが間違っているのだろう。


 次は『三刀総司とその親族に関する調査結果』だ。


 これが本命であり、布石だ。


「本作戦の翌日、三刀氏の個人情報流出それに伴う家族構成に疑問の声が出ていました。本作戦とは別の事案であり、政府が介入すべきではないと考えておりましたが、三刀氏の公的な立場が強まっていることを鑑み、調査結果を公表するに至りました」


 俺の個人情報部分はおまけでしかない。


 大事なのは家族構成の部分である。


 妹は公的には既に死亡扱いとされている。火葬も済み、肉体なんて残っていない。なのに電脳世界ではリアル妹を名乗ったがため、事情を知らない人からは妹を騙っているとされた。俺と妹が恋人同士なのではないかと下衆の勘繰りをする輩も出た。本当にやめて欲しい。


 ゆえに公的な発表することで妹の評判を取り戻すのが目的だ。


「個人情報流出は事件として調査を続けております。続報をお待ちください。また、家族構成についてですが、三刀氏の妹が亡くなったという噂が飛び交っております。これは謝った情報です。三刀氏の妹は生きております。三刀氏の妹もエネミーに襲われたことで肉体に損傷を帯び、現在集中治療室で寝たきりとなっております。ですが意識は電脳世界にある状態ゆえ、電脳世界で活動を行っているとのことでした。兄である三刀氏以外の記憶を失ったことで部外者との連絡を避けており、この事実をこの会見で初めて知ることになった方もおられるでしょう。ただし、これはエネミーに関することのため口外しないように政府から依頼していたからでもあります。また、その兄である三刀氏はエネミーの情報を集めるために以前から個人で活動しており、度々情報提供をしていただいておりました」


 無論中身は噓八百である。

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