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妹、電脳世界の神になる〜転生して神に至る物語に巻き込まれた兄の話〜  作者: 宮比岩斗
1章 義妹と書いて偽妹と読む

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技術革新は可燃物

 俺の思いつきは反響を起こし、たちまち界隈で騒動となった。


 つまりは祭りの始まりである。


 俺の言葉は切り取られ、煽り散らかすタイトルとともに動画をアップされ、いつしか量産型モデルユーザーの代表として祀り上げられる。


 この間、たった十分である。


 昔ならばもっと時間がかかったであろうものが、技術革新とともに神輿の作り方もスピードアップしたのだ。せっかくの技術革新なのに、こういう使い方ばかりされるのはいかがなものか。まあ、神輿は軽い方が良いのは変わらないらしい。その場合の神輿は俺ということになるのは甚だ遺憾である。


 まるで炎上に近い盛り上がり方に顔を真っ青にするのは我が愚妹と悪友である。


 俺よりも高度情報化社会やらユキビタスやらメタバースやらに精通しているゆえ、これがマズい盛り上がり方だというのがわかるらしい。俺自身、二人の顔色を見るまでは「言ってやった」ぐらいのことしか思っていなかった。


 もっとも俺がわかったとしても黙って見ていることしかできないのだが。


 妹が必死にリスナーと祭りに乗じてこの配信まで辿り着いた人々を必死になだめる。コメントを見る限り、俺に対する文句だけではなく、妹のリスナー、サクラバのファン、野次馬どもの三つ巴で喧嘩が始まっているところに仲裁していた。もっとも野次馬どもが一番優勢で、次にサクラバのファン、最後に妹のリスナー、という具合に声の大きさが目立っていた。


 桜庭は必死に大会を開けるようにカスタム設定を弄っているようだった。作業中の桜庭に「みんなが参加できるカスタムルールなんてあるのか?」と訊いてみたら「あるわけねぇだろ! だから、今必死に参加抽選機能調整してんだよ!」と怒られてしまった。


 手持ち無沙汰になったので部屋の隅で、俺が引き起こしてしまったという祭りの情報を調べてみた。


 サクラバの名に惹かれてか、どうやら野次馬ばかりだけではなく他の配信者も参加しようという動きがあるらしい。名前を見れば桜庭のチームメンバーもいれば、俺でも名前ぐらいは聞いたことがある有名どころもいた。プロゲーマー以外からは、ゲーム配信者はもちろん、ネットアイドル、はたまたテレビを主戦場にしている芸能人の方々もいた。


 俺のかましで、こんな有名人まで動かしたと思うと、不謹慎ながら少しばかりワクワクした。


 そう感じてしまい、反省するべく自らの頬を打つ。


 これは迷惑行為に走る輩の思考回路ゆえ、捨てなければ。


 清く正しくシオミンのファンでいなければならないのだから。


 そう強く思い直し、そういえばシオミンはこの騒ぎ知っているのなと気になって調べてみた。


 シオミンも参加を考えていることを知り、シオミンに殺されるまでは誰にも殺されてなるものかと心に誓った。

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