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転生令嬢と転生オタクの王子様  作者: ネコフク
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有用な転生者と迷惑な転生者

更新遅くなりすみません。

「実は転生者は殆んど平民なのだ。貴族にもいるが高位貴族には一人もいない理由はまだ不明だがローズ、お前が上位貴族第一号だ!」


(ビシッとやられても困りますが?私は研究対象か!)


 嬉々として話している殿下にジト目をするしかない私。


「第一号とかいいんで。前世の記憶を取り戻した人のその後を知りたいです」


「そうか。まず子供の転生者は前世がある分大人びているな。そしてその知識を糧に優秀な人材になるのが殆んどだ。30歳以上の転生者は知識を利用して国の発展に貢献してくれる」


 ユン様も頷き同意している。余程国に有益なのだろう。


「転生者でも少し問題があるのが青年期の転生者だな。どうやら向こうの世界でいう『厨二病』という病気を発症しやすい」


(なぬっ、厨二病・・・だと・・・⁉しかもこっちの世界で病気扱いだ!・・・あっ、ある意味そうなのかも・・・?)


 殿下が腕を組み眉間のシワをぐりぐりしながらため息をついている。なんか聞くのが怖いな・・・


「あ・・・あの〜、転生者がなにかこちら様に粗相ををしちゃったんでしょうか?」


「あー、うん・・・あいつらゲームの中に転生したと思って下剋上しようとするのだ」


「下剋上?」


「先ほども話したが転生者は殆んど平民が下級貴族だ。そいつらが学園に入学して王族や上級貴族の子息を狙うのだ。それはもう露骨にな」


(乙女ゲーーーーーム!!)


 殿下の隣に座っているユン様と一緒に殿下が遠い目をしている。2人共余程グイグイ来られたんだろう。


「あわわわわ・・・何でそんな事を」


「どうやら自分はヒロインだと思っていてな。イベントだーとか言って。影から飛び出して廊下でぶつかろうとしてきたり庭のベンチで待ち伏せしたりするんだ。酷いと階段から落とされたなどと嘘の申請までする者もいるんだ」


 怖っ。中二病怖い。


「へ・・・へぇ」


「そういえば『私は聖女なのよ!』とか言ってやがった方もいましたねぇ」


(やだ、ユン様普段丁寧な話し方の合間にお口が悪くなってますよ。器用か)


「ああ、いたな。この世界には聖女がいないというのに『自称聖女』を免罪符に愛称で呼んだりベタベタくっついてきたりしてな。しかも私の婚約者や『悪役令嬢』を探し回ったりするのだ」


「その『自称聖女』はジュリアン様の婚約者、ローズヒルデ様を『悪役令嬢』と(そし)り激怒したジュリアン様に卒業まで反省房行きを命じられましたよ。本当ローズヒルデ様が同じ学園に通ってなくて良かったですよ」


("・・・・・・")


 おや、ローズヒルデが怒ってる?

 そっか、王子がオタクな感じだけじゃなくって、転生者のそういう勝手な思い込みと常識が通じないトコが好きじゃないのか。

 でも転生者の一部だよローズヒルデ。

 それにしてもパワフルだな迷惑転生者。


「凄いですね。ローズヒルデがもしその場にいたら余計転生者を嫌いになったかも」


「ぐぅっ、・・・私達でも嫌気が差したのだからそうだろうな。ただ、その者達を差し引いても転生者は国にとって有益なのだ」


 腕組みをし難しい顔をしている王子は迷惑がかかっても転生者研究は辞めないらしい。


「これに関しては代々迷惑を被っている事案なのでうざったいですが仕方ないと割り切りますよ」


「代々・・・?」


「どうやら我々の親世代でも起こっていたみたいです。それに関してはローズヒルデ様のお父上、アイズ公爵様も関わっていますよ。知りたければ公爵様にお聞きしてはいかがですか?」


「お父様も?」


 まさかこの乙女ゲームみたいな展開が代々受け継がれてるとは。

 ・・・ん?でも20年以上前に乙女ゲームなんてあったのかしら?


 ハテナを頭いっぱいに浮かべ首を捻っていると王子がよし!と膝を叩き


「私もアイズ公爵の話を聞こうではないか」


「えっ」


「ジュリアン様、前に公爵様から聞いたではないですか」


「いいではないか。あの時思い出せなかった事を聞けるかもしれん。それに今回は転生者となったローズも一緒だ。もしかしたら相乗効果が」


「無いと思います」


 ユン様食い気味に否定したー!


「ただ単に話を聞きたいだけですよね?」


「そっ、そんな事はないぞっ」


 王子、それだけソワソワしながら言っても説得力ないですよ。ホント私が転生者と分かる前のあのゴミ虫を見るような目はどこへ行った?


「いいんですけど」


「ほらー」


 だからゴミ虫の目の王子はどこへ?あとフランクすぎやしませんか?こっちが素か?


「いいんですけど、私まだ家族に自分が転生者だと話していないのでそれまで待ってください」


 あと何故か王子を嫌っているうちの兄弟の対応もあるしね。


「・・・仕方ない。だがなるべく早くしてくれ」


「はい」


 どんだけ聞きたがりなんだと心の中で突っ込む私。王子のぐいぐいっぷりに疲れた私は昼食を一緒に食べた後、ユン様の勧めもあり屋敷へと帰って来た。

 自室の長椅子に疲れた体を横たえ、侍女が淹れてくれた紅茶を行儀が悪くダラダラ飲み、王子とのやり取りを思い出す。


(乙女ゲームの中だと勘違いしている転生者は厄介だよね。しかも代々って。お父様も関わっているとはローズヒルデも知らなかったみたいだし)


「とりあえずお父様に転生者になった事を報告しないと。あと王子がお父様の話を聞きに屋敷(うち)に来る事も。ハア、昨日のあの態度、うちの兄弟面倒くさい」


 憂鬱になりながらもベルを鳴らしお父様にお伺いをたててもらう。

 すぐに会うというので足取り重くお父様の書斎へ向かう。


 廊下の柔らかなカーペットを踏みしめ着いた書斎の扉は重厚で渋みのある焦げ茶色をしている。ノックをし、来たことを告げると張りのあるバリトンボイスが響いてくる。


「お父様お時間取って頂きありがと・・・う・・」


「やあローズ、昼ぶりだね」


 執務机の前に置かれた応接セットのソファーに優雅に座り、ニコニコと片手を挙げる王子を見て私は王子の行動力を舐めていたと実感し、少し険しい顔で椅子に座るお父様を見、遠い目になったのは仕方ないよね?

次回の更新は2月中旬〜下旬になります。

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