プロローグ・王子叫ぶ
本日から連載を始めました。
最低でも週1〜2回は投稿していきたいと思っていますので宜しくお願いします。
・・・・・・・・・・・・おい・・・
・・・・・・・大丈夫か?
・・・・・ローズ・・・・・
「おい!」
「はっ!ここは・・・・・・」
こんにちは、ローズヒルデです。皆様いかがお過ごしでしょうか。
わたくしジュリアン殿下の執務室で本棚の上に置いてあった書類が頭の上に落ちてきて一瞬ですが気絶していたようです。
心配そうな声だけかけて冷たくわたくしを見下ろしている超美麗な御方はジュリアン殿下、わたくしの婚約者です。
ジュリアン殿下はこのウィステリア王国の王太子候補で御年17才、輝く金色の髪に右目が薄い緑、左目が薄い紫、所謂オッドアイを持つ筋肉はついているけど細身の美青年で頭脳・剣術・魔術共に優秀でおいでです。
一応婚約しておりますが実は仲は良くありません。
お互い政略的な婚約は納得していますがウマが合わない。趣味や好みが全て正反対なのです。
話すと喧嘩腰なるので最近は会っても殆んど話していませんでした。
なので殿下の塩対応など気にしていません。
そしてわたくしはローズヒルデ=アイズ、アイズ公爵令嬢でジュリアン殿下と同い年でございます。茶髪でも透き通る様な茶色の髪に緑眼、出るところは出て引っ込んでいるところは引っ込んでいるナイスバディな今世を送っております。性格は・・・皆様にキツイと言われてます。
さて、話を戻しますがわたくし気絶したついでに前世を思い出してしまいました。
どうやら前世では日本に住むゲーム大好きOLだったようです。ゲームといって格闘ゲームやRPGが殆んどで最近は狩りゲーを廃人レベルでやっていました。
あっ、話がまた逸れてしまいましたね。
そのそこら辺にいる前世一般市民のわたくしが高位貴族になるなんて思ってもいなかったので混乱しております。
「・・・ローズ?」
怪訝な顔で見つめる殿下。
・・・・・・顔が良いですわね。いえ、今はそういうことではなくて!
「えっと・・・殿下、姿見はどちらに?」
「は?あそこにあるくらい君は知ってるだろ。こんな時にそれとは呆れるな」
今虫ケラでもみるような馬鹿にした言われ方をしましたがそれより今の自分の姿を確認しなくては!
ガバッと立ち上がり姿見に映る自分を確認する。
瞬間、今までのローズヒルデの人格がシャボン玉のようなものに包まれて奥底にいき前世での人格が体に染み渡る様に出てきてしまった。
ローズヒルデの記憶はあるけど前世の自分がローズヒルデの体を乗っ取ったような違和感がある。
さっきまではローズヒルデと前世の自分が混ざりあった感じだったのに今は前世の自分しか感じられない。
(えっ?まさか私が体をローズヒルデから奪っちゃったってコト⁉)
ガクガクしながら殿下の方をふり向くと不審な目で見られている。
ええ、不審ですよね。今見た目は知ってる人でも中身は殿下から見たら知らない人。先ほど婚約者から不審者になりましたとも!
でもどうやって説明すればいいのか分からない。だからといってこのまま放っておく事も出来ない。
「あぁ・・・日本に帰りたい」
頭を抱えボソリと呟くとそれまで冷めた目で見ていた殿下が目を見開き唖然とし
「ローズ、今何と言った?」
「えっ?はっ?あっと・・・」
「もう一度言う。今何と言った?」
「日本に帰りたいと言いました・・・」
有無を言わさない高圧的なオーラに気おされボソボソと言うと殿下が俯き体を震わせはじめた。
「で・・・殿下?」
おろおろしながら遠慮がちに話しかけるとローズヒルデの記憶にないほどの嬉しそうな、また確信があるような表情で顔を上げ両腕でガッツポーズをし雄叫びの如く言い放つ。
「転生者キターーーーーーーーー!!」