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17話・騎馬戦

 騎馬戦は二、三人で馬を作り、その上に乗った騎手役が、相手の騎手からハチマキを奪う競技だ。3チームが合同で行うことになっている。

 赤チーム、白チーム、青チームの順で並んだ騎馬隊が二列に分かれて並び、目の前の自分のチーム以外の騎馬に乗る騎士のハチマキを取るのを狙う。


 ハチマキを取られた騎馬隊は形を崩して、その場に座ってもらうことにしたので、残った騎馬隊の数で勝敗は決まるが、もしも、同じ数の騎馬が残った場合には、騎手が奪ったハチマキの数で決めることになっていた。


 始まってすぐに次々倒れ込む騎馬隊が出たので、あいつら見てないところで馬役の者に何か妨害でも? と、思ったら、馬役と騎手の息が合わずに潰れていく騎馬隊があったようだ。

あっけなく勝敗がつき、1位は青い鳥騎士団チーム。2位はキャピュレット家チームで、3位はモンタギュー家チームだった。

 その頃には広場に集まってきた人々から、ワー、ワーと、大きな歓声が上がっていた。


「さすがは青い鳥騎士団!」

「大公さまお抱え騎士団はヴァローナ一、強いぞ!」

「剣聖さま──!!」

「青い鳥騎士団は無敵だ!」


 皆が青い鳥騎士団の活躍を喜び、その声に応えた騎士団のメンバーに声援を送っていた。どうなることかと思われた競技大会は、観客には受け入れられたようだ。

 観客達も初めは、敵対関係にあるモンタギュー家と、キャピュレット家が共に競技大会に参加しているのを驚きの目で見ていたが、競技種目が始まると「頑張れ──!!」と、両家関係なく応援してくれていた。


「キャピュレット家も頑張った!」

「ロミオさま──! 素敵!!」

「モンタギュー家、次は頑張って──!!」


 モンタギュー家チームの応援の声は、若い女性の声が多かった。女性達は手を振るロミオに黄色い声を上げ続ける。

 キャピュレット家チームには、それに反して若い男性の声が多かった。ジュリエット狙いの声だろう。残念ながら彼女は参加してないが、自分のチームの男性達を労うように、お水を渡したり、タオルを渡したりと裏方の方で侍女らに混じってお世話をしていた。そのような姿を見ていると、昨日、わたしに絡んできた彼女とは思えなかった。


「キャピュレット家、次は負けるな!」

「応援しているぞ──!!」

「モンタギュー家や、青い鳥騎士団なんてぶっ飛ばせ──」


 中には過激な発言もあったけど、競技大会は概ね好評のようだ。

騎馬戦から戻って来たベルサザにお水を渡すと、「サンキュー」と、声が返ってきた。

汗をかいた彼は制服のボタンを何個か外し、胸元をはだけさせていた。それに何となく色気のようなものを感じて側にいるのが気恥ずかしく思われた。


「どうしたの? ロザリー?」

「ん……、何でもない」

「そんなにじっと見つめられると照れるんだけど」


 彼の胸元を注視してしまっていたようだ。それをからかいぎみにベルサザが指摘してくる。


「見つめてなんてないから。たまたま視界に入っただけで……」

「はいはい。そういうことにしておくよ」

「本当に違うから」


 否定したら笑われた。何だか気にしているわたしの方が馬鹿みたいだ。頬に熱が集まってくるような気がして両手で押さえていると、ベルサザが言った。


「次はメインの最終種目だな」


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