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ぼくは美形な王の付き人兼おともだち  作者: ツナズキクン
付き人採用試験編 ~出来レースではないんでしょうね?!~
7/48

6 結果発表~!!

名前持ちのキャラが増えてきました。名前は浮かんだ単語をそのまま採用したりしています。

 ワインドに引き止められた後はおとなしく彼の隣で試験が終わるのを待っていた。


 最後の1人がゴールするとラップは暫く選考に入るからと言い会場から出ていってしまった。


会場に残された受験者たちは、グループになって談話をしたり、隅の方で1人ひっそりと結果を待つ者もいた。


 ぼくとワインドは引き続き壁にもたれてぽつぽつと会話を続けていた。

 学校での生活や友達のこと、気がつけばワインドが質問してぼくが答える形になっていた。 


「そうか、友達とは仲良くやれているんだな」


 優しく相槌を打ってくれるワインドに、歳の離れた兄がいたらこんな感じなのかな? と思いを馳せる。


 よくよく考えたらぼくはワインドの年齢も、普段何をしている人なのかも知らない状態だ。

 聞いたら嫌がられないかな? 思いきって聞いてみようかな……。


「君、先ほどの風読みは見事だったね」


 ぼくが迷っている間に知らない男がワインドに話しかけていた。

 

「ありがとう……えっと」

「ああ、まずは名乗った方がいいね。ボクはチョーク。君と同じ受験者さ」

「ワインドだ。よろしく」


 2人が爽やかに握手を交わす中、ぼくはワインドの横でチョークを観察した。


 まず目についたのは前髪部分で、そこは9:1でわけられている。なぜか9の方の先が3巻くらいにくるくるとロールされており、ワックスで固めているのか動いても全体が動くだけで螺旋が崩れることはなかった。色は黄色に近い濃い金髪で良い色をしている。

 服装は赤と緑が基調となったチェック柄のスーツを着用しており、首元には赤いチョーカーがついていた。

 年齢は20代前半ほどだろう、ひょろっとした身体でワインドを見上げていた。


 さらにワインドの隣で観察していて気がついたことは、ぼくをまるでここにはいないかのように振る舞っていることだった。

 まぁ先ほどの試験のこともあるのでぼくに対して良い印象を抱けないのはしょうがないだろう。



 いつまでも2人のやり取りを見ていても仕方がない。少し距離をとろうと思いそろりとワインドがいる方と反対側に移動しようとした。

 が、いつの間にか服の裾をワインドにがっしりと掴まれていたぼくは、びょーんと服が伸びただけで移動することは叶わず、同時にワインドがぼくの行動に気がついてしまった。


「ん? どうした、移動するのか?」


 ワインドが優しくぼくに問いかける。

 まるで保護者のようだなと思ったが、そうするとぼくは大人同士の話に飽きて逃亡を試みた子どもか、となんだか気恥ずかしくなる。


「きみ、まだ僕たち話の途中なんだけど。邪魔しないでくれるかな?」


 チョークが片方の眉をぴくぴくと神経質に引きつらせている。ぼくを見る目はとても冷めていた。


「ああ、すまなかった」

「ワインドくん、きみは謝らなくていいんだ。悪いのはこいつさ」


 すかさず謝るワインドがさり気なくぼくの前に立ち隠そうとしてくれたが、チョークはそれも気に食わなかったらしくびしっとぼくを指差した。


 その時、扉が開かれラップと兵士たちが戻ってきた。


「待たせたな! 今から結果発表を行う。呼ばれたものは前へ」


 ナイスなタイミングで結果発表が始まった。

 チョークもこれには追撃は断念し、3人でラップの周りへ集まった。


「ではまずワインド!」

「はい」


 真っ先にワインドの名前が呼ばれた。

 ワインドはぼくとチョークを見比べ心配そうな表情でラップの横へ移動した。


「お前、まさか自分が選ばれるとでも思っているのか?」


 ワインドがいなくなるとすぐさまチョークがぼくだけに聞こえるように囁いてきた。

 そんなことは全く思っていないのに……彼はぼくをどんなやつだと思っているんだ。


 ワインドを指定の場所に立たせると、ラップは次の合格者を発表する。


「続いて、チョーク!」

「くく……はい!」


 チョークがにやにやしながらラップの横へ向かう。その目にはもうぼくは全く映っていなかった。

 嫌なやつだけどどうやら実力はあるようだ。


 今この会場には30人程度の受験者がいる。一体何人が最終試験へ進めるのだろう。


 ラップがまた次の発表をする。


「以上! 最終試験はこの2人で行う。皆、残念ではあったが……私はこの国にこれだけ期待できる若者が多くいたことを改めて見ることができて嬉しく思う。これから皆の進む未来が明るいものになることを信じているぞ」


 合格者が2人だけという厳しい結果に全員が驚いたが、あの冗談を言わないだろうラップがきれいにまとめの言葉を述べたので本当なのだ、と落ちた者たちが悔し涙を流した。


 こちらとしてはようやく帰ることが許されたため、最後にワインドへ挨拶をしてから帰ろうと彼に近づこうとした。


 落選した人たちもぽつぽつと数人出口へ向かうものが見える。


 だが、試験終了モードに入っていた場の空気は、急に会場の扉が開かれたことによって一旦停止される事になった。


 だって開かれた扉から現れた人物は。

お読みいただきありがとうございます!

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