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ぼくは美形な王の付き人兼おともだち  作者: ツナズキクン
なぁ、好きな子いるの?編
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7 風の神殿

割り箸に巻きとったふわふわなわたがしが食べたい。

 おそらく10秒もたたずに移動は完了した。

 そぉーっと目を開くと、ぼくは白いモヤの上に立っていた。

 もわもわと大量にスモークが焚かれているみたいに視界は悪い。

 雲の上や天国ってこんな感じなのかも、とひねりのない感想が浮かぶ。


 だんだんともやは薄れてきて、目の前に大きな神殿が建っていたことにようやく気がついた。


 これが風の神殿なのだろう。

 扉の前に恐る恐る近づいてみる。


 取っ手のない扉は触ってみても冷たい感触を残すだけで、ウィンちゃんの言っていたとおりこちらから開けることはできないのだと悟った。


「何しにきた」

 

 突然、扉の向こうからシルの静かな声が聞こえてきた。

 その声は扉を挟んでいるはずなのに、目の前でシルが話しているかのようにとても聞きとりやすかった。


「……お前は優しいやつだ。その優しさに俺はつけこんだ」


 シルを悪人と思ったことはない。まぁ、色々説明不足だとは思うけど。

 ぼくはたまたまシルに見つけてもらって、この世界に転生して、今幸せな人生を歩めているのだから。


「そこだ」


 顔は見えないがどこか不機嫌そうな声が返ってきた。


「転生のことで恩を感じているのなら、もうお前は充分働いたのだから、それについては気にしなくていい。それを踏まえた上で、今後どうしたいか選んでほしい……まぁお前のことだからそうは言ってもすぐに決めることは難しいだろうな」


 シルの気持ちが、少し見えた気がした。

 ぼくがシルに恩を感じている以上、本当の友達にはなれないのだろうか?


 本当に?


 友達って、こんなに難しく考えないといけないものだっけ?


 友達同士って、無償で助け合ってそれに恩を感じる必要はないんだっけ?


 多分シルは信じることが怖いんだ。


 他人を惹きつける容姿とカリスマ性を持ち合わせ、神として永遠にこの国を導く存在。

 

 そんな彼は、彼自身も気がつかない間に心に孤独を抱えていたのだろう。


 シルの顔を見たい。

 シルと顔をあわせていろんな話しをしたい。


 そう願うと、ごごごごと目の前で突然重低音が響きわたった。


 重く冷たかった扉が、ゆっくりと開かれていく。

 開かれた所から眩しいくらいの光が洩れた。


 反射的に目を細める。

 光とともに風を感じた。

 優しく、手や服を撫であげ、早く入ってきてと促されているようだった。


「やはりお前は優しいやつだ」

 

 中からシルの声が聞こえてくる。

 ぼくは一歩神殿の中へ足を踏み入れた。

お読みいただきありがとうございます!

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