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ぼくは美形な王の付き人兼おともだち  作者: ツナズキクン
なぁ、好きな子いるの?編
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6 神か人間か

ありがとうウィンちゃん。

 ウィンちゃんに抱きしめられていることの気恥ずかしさで体がぽかぽかしてきた。

 反対に頭の中は時間が経つにつれ冷静に事態の整理を始めていく。


 ”契約破棄でも良くないか?”


 その言葉が浮かんだ瞬間、ウィンちゃんがばっと体を離して、不満ありありといった目でこちらをジトっと見てきた。


「お主、破棄でも良いと思ったな? だが契約破棄について、お主はまだなにも知らぬのだ……よし、ここはウィンちゃんが説明してあげよう!」


 すちゃっとかけていないはずのメガネを上げるマネをして、ウィンちゃんが説明を始めた。

 なんだそのテンション。


「その1、寿命がもとに戻る。元々50年生きる予定だったとすると、契約破棄の日から50年の寿命が戻ってくる。100年後に契約破棄をすると親しい人間たちもほとんどおらず孤独になるところじゃが、今なら全く問題なく以前の生活に戻ることができるの」


 これが1番大きな決断だろう。

 自分だけ姿が変わることのないまま、家族や友人たちは歳を重ねていく。

 それは寂しいことだし、もしかしたら雷の国での誘拐事件の時のように妬むものが出てくるかもしれない。


「その2、契約を結んでから破棄までの記憶がなくなる。神の深部に触れた可能性がある立場じゃからの。うかつに話を広めないように記憶を抜きとってしまうのじゃ。その3、風に関する記憶もなくなって、わしのことが見えなくなる」 


 ここでウィンちゃんの話は終わり、あとは寂しそうな顔でぼくを見つめていた。

 

 神の伴侶の契約破棄には人間か神、どちらを選ぶのか問いかけられているようだった。


 こんなのすぐには選べないよ……。

 

 だからシルはぼくに会うことを避けているのか。


 シルも迷っているんだ。


 やっぱり、一度シルと話をしてみる必要があるのかもしれない。

 そうじゃないと、ぼくも1人で答えを見つけることはむずかしいと思った。


「やつは今風の神殿にこもっておる。あそこは中の者が出たいと思わぬ限り、けして扉は開かれない」


 教えてくれるウィンちゃんの周りに、いつの間にかふわり、ふわりと繭玉のようなものがいくつも浮かんでいた。


「人間だけの力では神殿がある空間に行くことすらできないのでな。どれ、わしがひとつ力を貸すとしよう」


 ウィンちゃんが開いた右手をぼくに向かってかざすと、繭玉たちがその手に集まってきて大きな球体になった。


 ぼくはそれが繭玉ではなくて、風の集合体だということに気がついた。


「お主は無理やり契約を結ばされた被害者かもしれんが、そうまでしてでもシルリヤはお主と一緒におりたかったことだけは理解してやってくれ。相手は神じゃが、殴ってやってもわしが許す。」 


 大きな球体がウィンちゃんの手から離れてぼくに近づいてきた。

 球体の中に体が全部収まると、膜が張られたみたいに外側にいるウィンちゃんの姿が見えづらくなった。声も聞き取りづらくて、何か伝えようとしてくるウィンちゃんに聞こえないと両手で大きくバツのマークをつくって伝えた。

 気がついたウィンちゃんはすぅっと大きく息を吸い込んで、その高く透き通る声を震わせた。


「2人で話し合った結果なら、どっちに転んでももうなにも言わん! だが、最後に1つだけ……わしもお主とずっと一緒が良いと思ってるんだからなぁ⸺!!」


 祈るようにして叫んだウィンちゃんの声を最後に、ぼくは体がどこかへ飛ばされるような衝撃を受けて、身動きが取れなくなった。

 視界もぶれひどい乗り物酔いになりそうだったので、到着までぎゅっと目を閉じていた。

お読みいただきありがとうございます!

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