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ぼくは美形な王の付き人兼おともだち  作者: ツナズキクン
雷の国出張編 ~遠出と楽しい時間と、少しの疑心~
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13 怪しい商談

滅多に飲まないから、ドライフルーツ入りのフレーバーティーってテンション上がります。

 ピカピカのタイルを踏みしめて進む。

 ソファの裏、机の下、クローゼットの中ーールーンは見つからない。

 時折巡回している兵士に頭を下げて挨拶しながらうろちょろと室内を物色する。

 ……正直他所様のお城でやるべきではない行動に怒られないか内心ドキドキしていた。


 しかし兵士の人たちもいつ情報が行き渡ったのかはわからないが、ぼくが雷隠しの遊びの最中ということを知っているようだ。


 近くの場所から1人ローラー作戦を実行し、残すは奥の2部屋だけだ。


 先に手前にある部屋の前に立った。

 先程まではぐんぐん遠慮せずに扉を開けて入っていたが、なんだかこの部屋は他より扉が大きい。

 少しだけ扉を開いて、隙間から覗き込んでみる。


「ーーでーーだ」


 驚いた。

 中ではブリッツとシルが話し合っていた。


 ここで話していたんだ……まだ2人は気がついていないようだけど盗み聞きは良くないよね……。


 ぼくはそっとその場所から離れようとしたが、聞こえてきた言葉に足を止めた。 


「わかった。では来月より風の国に輸出しよう」

「ふん。はじめから素直に頷けば良いものの」


 輸出?

 どうやらシルはブリッツに貿易の話を持ちかけたようだ。 

 

「招待状に何でも言うこと聞くって言っていたよなぁ?」

「うっ……! あんなのちょっとした兄弟ジョークだろう? シルちゃん怖い……」

「次からは言葉に気をつけることだな」


 なんだかんだ神同士は気が合うのか、シルはいつもより素でいる気がする。

 クスクスとブリッツに向かって悪い笑みを見せた。

 

「……しかし、一体何をする気なんだ?」


 しばらく軽快なやり取りが行われた後、ブリッツが不思議そうにシルに尋ねた。

 

「それは言うことができない。だが、ブリッツ。お前の国の資源は非常に価値あるものだと言っておこう」

「そいつはどうも。ぼくには全くわからんが、今回はお前の伴侶を危険な目にあわせてしまった詫びも含めて深く聞かんことにするよ……ただ、あまり勝手がすぎると」

「わかっている……だが、オレは止まることはできないんだ」


 ふらふらとゆっくり部屋から離れる。

 シルは何を企んでいるのだろう?

 ブリッツにまで忠告されている。


 そのまま最後の部屋に入る。

 

「あら? 見つかってしまいましたわ」


 ルーンはソファに腰掛け優雅に紅茶を飲んでいた。

 

 隠れていない……だと?!


「ねぇ。今淹れたお茶、すごくフルーティで美味しいので、1杯だけ付き合ってくれませんこと?」


 どうやら少し休憩のつもりでお茶を淹れたところにちょうどぼくが来てしまったようだ。

 少し落ち着きたいと思ったぼくは誘われるがまま、ルーンの座るソファから机を挟んだ向かいのソファに座った。


「なんだかお疲れのようですね? もしかしてどなたかに何か言われてしまいましたか?」


 心配そうにしながらお茶を新しいカップ注ぎぼくの方へ置いてくれた。


「どうぞ」


 勧められるままにカップを手に取りお茶を口に運んだ。


 ルーンの言ったとおりフルーティですごく甘くて、心が落ち着く感じがした。


「うふふ、お口にあって良かったですわ……大丈夫ですよ。事情は存じませんが、何か悩みや心配事がある時は、まず自分の心と相談するんです。自分はどうしたいのかって、そこがはっきりすると意外と道が開けるものだと思いますわ」


 自分がどうしたいのか……か。

 胸に手を当てて考えてみる。


 ぼくは、前の世界で消えてなくなりたいと思っていた。

 でもシルに会って、この世界に連れてきてもらって、優しい家族の元に生まれ気の合う友達に出会った。

 付き人の試験でワインドやラップ、ウィンちゃんと出会って、シルと再会して。 


 辛いこともあったけど味方してくれる人がいて、頑張ろうって気持ちが前を向いた。

 

 シルはぼくの恩人だ。

 今シルが何を考えているのかはわからないけど、恩人を疑いながら過ごすことは、ぼくには辛いことなんだと思う。


 ああ、そうか、ぼくはシルを信じたいんだ。

お読みいただきありがとうございます!

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