7 ぼくが拐われた
静電気に恐怖する時期ですね。
神の伴侶の衝撃が強すぎて、その後に何を話していたかはあまり覚えていない。
今はぼくとワインドの2人で街の屋台を見てまわっているところだった。
「どうしたんだ、ずっと手首なんか睨みつけて……痛むのか?」
ワインドがぼくの様子に気がついて声をかけてくれる。
兄のような存在のワインドと、風の国にはない食べ物を食べることができてすごく楽しいはずなのに、ふと1人になった時にこうして自分の手首をぼんやりと見てしまう。
「痛かったらすぐに言ってくれよ? 手当ては得意分野だ!」
ワインドがぐっと力こぶを作る仕草を見せた。普段より明るい声に気を遣ってくれていることが伝わってくる。
「そうだ、さっき美味しそうなパンケーキを見かけたんだ。買ってくるからあそこのベンチで待っていてくれないか?」
ぼくが頷くと、ワインドは駆け足で市場の中へと消えていった。
言われたとおり、数十歩離れているベンチへ移動しようとしたら、ローブを深くかぶった人がぼくの目の前で立ち塞がった。
「もし、すみませんがそこのお方」
ローブの中からしわがれたおじいさんの声が聞こえてきた。
さらに言葉を続けようとするおじいさんの声は、祭の最中で賑わう人々の声に負けてしまう。
ぼくはおじいさんが何を言おうとしているのか聞きとろうと、顔を近づけた。
衝撃が走りぼくは全身が痺れて動けなくなった。
目だけを懸命に動かして確認すると、おじいさんの指がぼくの首筋に触れていた。
バチバチ、バチバチ。
おじいさんの指とぼくの首の間から青い光が発している。それと焦げ臭い。
痛みが体中にかけめぐる中、ぼくは雷の国へ向かう前日に、ワインドから聞いた記憶が頭の中で再生された。
『雷の国の民は体内に電気を貯めることができるんだ。そして好きなときに手足から電気を放出することができる』
まさかこんな凶悪な使い方をする人がいるなんて……!
「大丈夫ですか」
背後から誰かが声をかけてきた。
良かった、これでおじいさんもどこかへ逃げるだろう。目的はわからないけど大事にはしたくないはずだ。
「この人、具合が悪いみたいなんです」
「それは大変だ! あちらに休憩できる場所がありますから、移動しましょう」
あれ、あれあれあれ?
おじいさんと顔の見えない背後の人がスムーズに会話を済ましたかと思うと、あっという間にぼくの身体を両脇から掴み、引きずるようにして歩き出した。
グ、グルだった……!
痺れてまだ全然声も出そうにない。
それに両脇から時折バチバチと電気が発生する音が聞こえてくると、恐怖で抵抗することができなかった。
ぼく、これからどうなるんだろう……。
5分程経っただろうか、屋台が並んでいた場所から少し離れてはいるが、まだまだ中心街だという中に建つ家の中へと連れ込まれた。
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