3 雷の王とその妻
良い肉食べたいです。
握手を交わしたあとに、ブリッツは側にいた女性を手招きした。
「ぼくの伴侶を紹介しよう。ルーンだ」
「はじめまして。妻のルーン・ドーンです」
艶のある黒髪に、優しそうな大人の女性なルーンの腰を自然と抱き寄せたブリッツに、まるで映画でも観ているような気になった。
ルーンはとても美しい人で、その、どうしても豊満なバストが目に入り恥ずかしくてぼくは慌ててシルの背中に隠れた。
「あらあらウブだこと」
「君が美しすぎるんだ!」
ハハハッと当たり前のように言ってのけるブリッツに、「まあ!」とルーンも照れながら満更でもなさそうにブリッツの肩に頭を預けた。
「わたくし嬉しいんですの。はじめて同じ神の伴侶の方にお会いできたのですから」
神の伴侶?
ルーンがぼくに向けて言ったであろう言葉が理解できず、思わずシルの背中から顔だけ出してルーンを見つめた。
ぼくのその表情を見て、ブリッツとルーンから笑顔が消えた。
「お前まさか……」
「こいつは伴侶ではなくオレの友人兼付き人だ。ちゃんと合意を得てのことだ」
ブリッツの咎めるような声を遮り、シルがぼくとの関係性を淡々と説明する。
その説明に間違いはないか無言で同時にぼくを見つめてきた2人に対し、間違いではないのでそうだと肯定するように頷いた。
ようやく2人に笑顔が戻る。よくわからないが変に緊張してどっと疲れた。
「まぁ伴侶ではなくても、仲の良い友ならあり得るか!」
むしろなんで伴侶と思われたのか謎だったが、シルがいる場で聞くとはぐらかされそうなのでこの場では抑えることにした。
ぼく達が話している頃、会場内ではとっくに各々楽しそうに談笑が始まっていた。
「オレ達も何か食べようか」
「そうだね! 来てくれたばかりで話し込んでしまってすまなかった。君たちも是非好きなものを食べてくれたまえ」
ブリッツが遠巻きにぼく達を囲んでいた兵士たちに声をかける。
シルも頷いたため、ワインドを筆頭に兵士たちはパーティの雑踏の中に消えていった。
ルーンからお皿をもらったぼく達は近くの料理が置かれている場所へと移動した。
どれにしようかな迷っているとシルが隣から容赦なく大量の肉を乗せてきた。
「お前はもっと太った方が良いぞ」
美味しそうだけど色々な味付けの料理を上に上にと重ねていくのでひどい見た目になってしまった。
慌ててシルに背を向けてこれ以上の被害を食い止めた。
入ってしまったものはしょうがないのでぼくは壁際に移動して1人でゆっくりと食べることにした。
もちろん逃げ去る前にシルに向けて舌を出し、不満ありありという顔で睨んでから小走りで壁へと退避した。
背中越しにシルの人を馬鹿にしたようなくつくつという笑い声が聞こえてくる。
それにさらに腹を立てながらジュレのようなソースが滴る肉にがぶりと歯を立てた。
うん、美味い!
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