2 到着、雷の国
ショタの次は筋肉。
入り口にはとても立派な門が建っていた。
ぼく達を乗せた馬車が目の前に到着すると、門番の1人が馬を引く兵士の前にやって来た。兵士が招待状を取り出す。
門番は確認が終わると、手に持っていた丸い押しボタンが上下に2つだけついている、シンプルなリモコンの上のボタンを押した。
門がゆっくりだが自動で上がっていった。
この世界は自然と共存した世界だ。
まさか自動ドアならぬ自動門があるとは驚きだった。
「俺たちが風に助けられているものと同じものだ。この国は電気があちこちに流れ動いている。あれも電気に信号を送り動かしてもらっているのだ」
シルリヤがぼくの心の中を読んだようなタイミングで説明してきた。
風ならよく見えるけど、電気は生まれの性質上まったく見えないようだ。
目に見えない分、ハイテクに見える。
開ききった門の下を通り、馬車がまた進みだした。
門の中からすぐに街が広がる。
他国の王が来るならなんとなく街全体をあげてのお出迎えがあるのかな? と来る前は思っていたが、特にそのようなことはなく、静かなものだった。
日が落ちかけている時間帯だからか、あまり出歩く人もいないようだ。
まっすぐ進んだ先、わりとすぐに目的の場所へと到着した。
「ついたな」
雷の国の王が住むお城は街の中心地にあった。
黒色の大きな城からは四方に何か糸のようなものが沢山遠くの建物にむかい伸びていた。
これは何の意味があるのだろう? と考えている時、ちょうど太陽が落ちていき夜の時間が始まった。
すると城がカッと発光したかと思うと、光が糸の上を走った。
その糸の線上で光がそのまま輝き続けている。
この位置から全体を見渡すことはできないが、恐らく国全体にこの糸は行き渡っていて、夜でも昼のように明るいのではないかと思った。
「入るぞ」
案内の人を先頭に、その後をシルリヤ、その左右に護衛のワインドと兵士、ぼく、他の兵士達という陣形で歩いた。
しばらくすると大きな扉の前で案内の人が止まり振り返った。
「こちらで皆お待ちしておりますので、扉が開きましたらどうぞ中へお入りください」
そう告げると一礼して、また来た道を帰っていった。
扉はすぐに開いて、案内の人が言ったとおり中へと進んだ。
中ではいくつも設置された丸テーブルを囲み、人々が立食形式で談笑まじりに食事をとっていた。
ぼくたちが入ると一斉にこちら視線が集まった。
「風の国の王、シルリヤ=ヴァ=ウィンド様ー!」
どこからかシルを紹介する声が上がった。
すると場内で歓声があがり、皆がシルを食い入るように見つめていた。
やはりこちらの国でもシルの美しさは次元違いのようで、ご婦人の方々から吐息が漏れた。
「おお! シル! よく来てくれた兄弟ー!」
皆がシルを遠巻きに鑑賞するという美術品扱いをしている中、ただ1人だけはシルに向かって両手を広げ突進してきた。
それをシルは嫌そうな顔で避ける。
「久しぶりだというのに冷たくないか?!」
「騒々しいぞ。これがそなたの客のもてなし方か?」
「ああ! その言い方きついぞ!」
なんだ、この人は……。
まだまだ働き盛りという感じだがけして若いとは言い難いこの男は、とてもガタイが良く、その筋肉で着ているシャツのボタンが弾け飛びそうだ。
薄い茶色の髪は軽くオールバックにしているが、固めてはおらず、本来の柔らかそうな髪質が残っている。そしてもみあげから顎に続くように髭を生やしていた。
見た目は大きくて怖そうなのだが、反面ころころと変わる表情や、柔和な笑顔が印象を和らげていた。
そんな風に観察をしていると、男と目があった。
「やぁ! 君がシルリヤが選んだパートナーだね! 私は雷の国の王、ブリッツ・ドーンだ! よろしく!」
シルに気軽に話しかけに来たときから予想はできてたけど、やっぱり王様だった!
満面の笑みで握手してきた! すっごい気さくな神だ!
お読みいただきありがとうございます!




