6 VIPなお客様
ショタっ子登場に筆が乗る正直な身体。
その日はどんよりとしていて、今にも雨が降り出しそうな雲に覆われた暗い昼間のことでした。
ぼくは学校が終わるといつも通りに王宮へと続く道を歩いていました。
雨の日でも風は吹きますが、こういった日の風は気性が荒く、風の道も普段よりぐらぐらして通りづらいのです。
降る前に早く向かおう。そればかりを考えながら早足で進んでいたときのことでした。
ピシャーン! と、雷が突然目の前に落ちてきたのです。
ぼくは驚いて尻もちをつきました。
だって音もでかいし当たると危ないし、恐いものずくめなのですから。
そして気がつきました。雷は高いところに落ちてくると……ぼくの周りには建物もなにもありません。つまりぼくが今一番高いものなのです。
全身が震え上がりお尻をつけたまま動けなくなりました。
助けてもらいたくても今は誰も近くにいな……ん?
先ほど雷が落ちた場所に金髪の少年が立っている……?
「なぁなぁ! さっきの雷ぼくが落としたんだよ! いい音だったでしょ? すごい? すごい?」
ぼくと目があった少年は嬉しそうにぼくの目の前にやって来て、雷を落としたと言ってのけた。
すごく頭を近付けてきたので、思わず撫でようとしたら、彼の髪の毛とぼくの手の間でパチっと静電気が発生した。
「えー、撫でて褒めてよお!」
駄々っ子のようにまた頭を近付けて来るが、ぼくは気がついたのだ。
彼の髪の毛が常にパチパチと音を立てて帯電していることに。
この子、絶対雷の国の人だ!
雷の国とはぼくの住む風の国の右隣にある大国だ。
この世界は大きな三角の形をしている。
それをまず横に真っ二つに分ける。下の方には火の国と水の国がある。
上の方には左から緑の国、風の国、雷の国と並んでいた。
風の国は2つの国に挟まれた細長い形状になっている、一番小さな国だった。
国と国の間には特に境界線はないので他の国の人は自由に色々な国を行き来することができる。
ただし国ごとに人の性質が見事に違うので、旅行は自由だが移住などには手続きなどが必要だった。
ぼくはまだ風の国から出たことがなく、住んでいるのも都会から離れた場所なので今まで他の国の人と出会うことがなかったのだ。
まさか雷の国の人は帯電しているのが普通なんだろうか?
「むぅ。さっきのすごくなかった? じゃあ今度は特大5連発見せてあげる!」
ああああ! 冷静になっている場合じゃない! どうにかこの子を止めないと!
「おい小僧、一体わしの国で何をやろうとしている?」
とても愛らしい声には怒気が含まれていた。
ウィンちゃんが、急にぼくの前に現れたのだ。
「あ、風しゃん!」
「久しいのお、雷小僧。お主のせいで空が荒れておるわい」
ウィンちゃんの登場に少年は落ち着いてくれたようで、また僕たちの所へ戻ってきた。
ってウィンちゃんと顔見知りぽいし、雷小僧ってもしかして……?!
「ああ、こいつはわしと同じで雷が実体化したものじゃ」
やっぱり! ぼくはまじまじと雷の少年を観察した。
少年の金髪は帯電していてツンツンと四方に立ち上がっている。服は真っ白なセーラー服を着用しており、そこから伸びる手足や顔は健康的な小麦色だ。白い大きめの短パンからちらちらと見える太ももには日焼けの色と地肌の色で境界線ができており、地は色白なんだなと思った。
「ぼくはリヒトって言うんだあ! よろしくね! リヒトって呼び捨てで良いよ」
とりあえずVIPと言うことがわかり、ぼくだけでは持て余すので、ウィンちゃんとリヒトにまず王宮に移動することを提案したのだった。
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