2 迎えにこなくてもサボりません(嬉)
やっぱりワインドが好きなんだぁ。
次の日、学校の中でぼくは一躍して時の人となっていた。
「王様の付き人になったんだって?! すごいじゃん!」
「おめでとー、ねぇねぇ今度お祝いしよぉ」
小さな町ではちょっとしたニュースでも広まるのは早い。
特に今回はまだ16の子どもが国の王の付き人となったのだ。町の盛り上がりは凄まじかった。
学校でもこうして普段あまり話したことのない人にまで話しかけられる始末だった。
「よ! 付き人くん!」
後ろから聞き慣れた声に肩を叩かれる。
振り返るとそこにいたのはぼくの隣の家に住む幼なじみ、ウィートネだった。
ウィーはとっても明るい性格の、マロン色のボブヘアーがとっても似合っている女の子だ。
同い年だがしっかりものの彼女には昔から何かと世話を焼いてもらっていた。ぼくの仲の良い友人の1人だ。
「おっとりしたあんたが王様の付き人になったって聞いたときは驚いたよ……無理だけはしちゃだめだよ?」
普段は同じくらいの背丈なのだが、少しだけ屈んでぼくの顔を覗き込んでくる彼女の上目遣いに、胸がドキドキと高鳴る。
「じゃ、帰ろっか!」
ぱっとまた明るい笑顔を見せたウィーと、ぼくは一緒に帰ることになった。
毎日ではないがたまにタイミングが会う時はこうして一緒に帰っている。
帰りながらぼくは昨日の試験のことをウィーに聞かれて話していた。
「へぇー! ワインドさんってかっこいいねぇ、あたしも会ってみたいな」
ワインドの話は特に熱が入った。それに感化されたウィーがワインドに会いたいと言い出す。
……今度友達を連れて行ってもいいかシルリヤに打診してみようか?
いや、王宮へは仕事しに行くんだし怒られるか。
それならワインドを家に招待する? うん、それがいいかもしれない!
「お、帰ったか?」
そんなことを考えていたらなんとぼくの家の前にワインドが立っていた。
え、まぼろし?
ぼくが固まっていると隣にいたウィーが小声でぼくに問いかけた。
「知り合い?」
「ご友人かな? はじめまして、オレはワインドと言う」
「あ! あなたが!」
ワインドが礼儀正しくお辞儀をするとウィーは嬉しそうにワインドへと駆け寄っていった。
「はじめまして、ウィートネって言います! ちょうどワインドさんの武勇伝を聞いていたところだったんです……あ、あの、今度あたしに風読みのコツ教えてください!」
ああああああ!
ウィーがするするっとぼくがワインドの自慢話をしたことをバラしてしまった。
気恥ずかしさから顔に熱が集中する。
ワインドはぼくとウィーの顔を見比べると、豪快に笑った。
「ハハハッ! これは光栄だな。ウィートネさん、オレで良ければ今度付き合わせていただこう……すまないが今日はそろそろ王宮へ向かわないといけない。シルリヤ王がお待ちかねだ」
「あ、ありがとうございます! じゃああたしはこれで。また明日学校でね」
ウィーと別れの挨拶を済ませるとワインドに誘導されぼくたちは家の屋根に轢かれた風のレールに乗り上げた。
「王が今日はこれに乗ってくると良いって」
屋根瓦の上には空飛ぶ絨毯が敷かれていた。
まさか昨日の今日であの約束を守ってくれるとは!
またシルリヤの良い一面が見れた気がした。
ワインドと2人で絨毯の上へ座り込む。
ふわり、絨毯は軽々と浮かび上がり移動を開始した。
ワインドも初めて乗ったらしく、ぼくたちは暫くの間、絨毯での優雅な飛行を楽しんだ。
お読みいただきありがとうございました。




