いやもう大商人って恐いわー……
いやもう大商人って恐いわー……
その資産を商売のいろはが分かっていない私らが持っていることが大問題。
資産運用も分かってないけど、ただ浪費していて良いわけはない。とりあえず、死亡確認がされていないお義父様がどこかで生きているとして、彼が帰って来るまでどうにか持ちこたえなければならない。
現在、商売的には赤字になってるわけで。
私にできる事は土下座して相手が音を上げるまですがるだけだった。
お義父様の右腕である秘書(男)はお義父様と一緒に行方不明。
なので、左腕?として屋敷の方を仕切っていたが私らのせいで出て行ってしまった執事(男)に会いに行った。
こちらの元執事はエラを心配して、どこにも再就職はせずに一人暮らし。そしてエラとは手紙のやり取りをしていた。
郵便館受け取りにしていたので、私ら母子はそのやり取りに全く気づいていなかった。
私らがお馬鹿過ぎたのもあるが、そういう抜け目ないやり方をする人を信用したらいいものか一瞬だけ悩んだ。だけどもしこの執事が乗っ取りを企んでいたとしても資産が減るのはどちらにしろメリットはない。
それに、エラを可愛がる姿は好好爺なのだ。ロリコンではない、孫が可愛い爺様なのだ。思わず和む。
とにかくエラが連絡を取れる、我が家にとって実績のある信用できる人が元執事しかいなかったので、即土下座した。
成金ドレスではなく、エラに借りたつぎはぎワンピースは土下座しやすい。お母様と妹は置いてきている。彼女らの矯正は後回しだ。
謝罪とお願いに現れたのが元凶のうちの私だけだからか、元執事の雰囲気は蔑みだけだった。エラがいなかったら会ってもくれなかっだろう。
それだけの事を私たちはした。
……今だから、ゾッとする。
今だから、土下座ができる。
おでこから血が滲んだらしく、それを見たエラが泣きそうになってから、元執事はやっと我が家の惨状をどうにかすると言ってくれた。渋々だったけど、本当に助かった。
元執事は私を心配するエラを困ったように見ていたけれど、エラが私のおでこにあてるためにハンカチを濡らしに行った隙に聞いてみた。部屋に二人きりでめっちゃ気まずかったのもある。
「あの、あの子、なぜあのように良い子なのでしょうか」
変な質問だったのもあり、元執事は目を丸くした。おお、そんな顔初めて見た。
「……そういえば、いつからだろう……?」
現在エラは15歳。私は16。妹はエラと同い年。
お義父様とお母様の再婚は1年前。
お義父様が行方不明になったのは半年前。
元執事を追い出したのが1カ月前。
虐めだしてからその人柄に気づいたけど、エラが生まれてからずっと一緒だった元執事がいつからとはっきり言えない。
てことは、生まれてからずっと人格者?
元執事はエラの我が儘すら思い出せないと言う。
マジで天使か??
ただの人間が天使を虐めたなら、そりゃあ、目をくり抜かれるわ。